85-2 シロガネの決意 ページ37
「？」
呼びかけられ、ふと意識をロクドーに戻す。
「また会おうぜ。今度はもっと一緒にいられるといいな」
へらりと笑いかけるロクドー。
私は彼を睨みつけ、舌を出した。
「黙れ。私はもうシロガネじゃない。吉田志乃だ。次にその名前で呼んだらぶっ飛ばす」
踵を返して、地面に置いてた鞄を拾う。
今すぐここから離れたくて、ビルの壁を伝って屋上まで登った。
ビル街から住宅街に飛び移り、屋根を蹴って学校へ向かう。
さっきまでの濃厚な血の匂いが、だんだん遠ざかっていく。
今回の件で確信した。
私に安息の地などどこにもない。
冥くん達に見つかった時点で、いや、ロクドーと会った時点で既に詰んでいた。
これで、奴らに私が生きているという情報を与えてしまった。
奴らは私を死んでも諦めない。このままシャバにいれば、一年も経たない内に連れ戻される。
なら、もう一度戻ればいい。私を収容したあの場所へ。
私を「人」にしてくれたあの場所なら、情報の断絶を図れる。
今度は囚人じゃなく、看守として。
その立場があれば、あの頃より自由に動ける。
中学校の校門に着地して、中に入り込む。
呼吸を落ち着けるべく深く息を吐いた瞬間、うるさい生活指導の先生と目が合った。
「ゴルァア吉田ァ！今何時だと思ってんだ！遅刻だぞ遅刻！」
「あー、すいません。ちょっと途中でトラブルに巻き込まれまして」
「はぁ？何があったんだ」
「迷子の子猫探しです」
先生との会話内容は全く覚えてない。
私にとって今一番重要なのは、中卒でどうやって刑務官になるか。
現在の日本の法律じゃ難しいからなー。どうにか上手いこと誤魔化して入るかが課題になってくるか。
ふむ。悪巧みは得意だから特に問題はない。
私の秘密や情報を餌にして、警察とか市役所とかに手をまわして事実を伏せて入るか。
ハッハッハッ！データの改竄は任せろ！嫌ってほどやって完璧ともいえるレベルにまで到達したわ！
上手く先生と会話ができなかった私は、最終的に特に意味もなく遅刻してきた、という話で片付けられた。
罰は反省文の提出のみで済みました。ハッ、軽いもんだね。
決めた。私は看守になる。
そこで奴らや私の情報を連中にチラつかせながら、綱渡りの生活を送ってやる。
いかにこの残りわずかな人生を、刺激的に楽しむか。
不敵に笑った私は、きっと現役時代さながらの悪い表情だっただろう。
私には、それがお似合いなのだ。今までも、これからもずっと。
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ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» わぁい、ありがとうございます！(両手を上げてステップしながら狂喜乱舞) (2020年8月4日 20時) (
レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
瑠碧(プロフ) - 殺意を抑えようとブツブツ呟いてる志乃ちゃんクッソかわよ絶対に推し続けるわ← (2020年8月4日 11時) (レス) id: 3cee96974c (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - リリアさん» ありがとうございます！御一行出したくて出したくて仕方なかったので、ようやく出せて一安心です。これからもよろしくお願いします！ (2020年7月30日 12時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - はじめまして！御一行がではじめてからますます面白くなってきました！！これからも更新頑張ってください！ (2020年7月29日 21時) (レス) id: 4a2141df19 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» ありがとうございます^_^これからもよろしくお願いします。 (2020年7月26日 13時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサ | 作成日時：2020年7月23日 12時
