81-2 序章 ページ23
「それはそうと父さん、買ってくるもの間違えないでよ。今日の晩ご飯ステーキなんだからね。牛肉だからね！豚肉じゃないよ！」
「ええ、わかってますよ」
ホクホクと笑う父に溜息を漏らす。
そう言って父はいつも何かしら間違って買ってくるのだ。
この間なんて、イカ焼きそばを作るためにイカを頼んだのにタコを買ってきた。
おかげで晩ご飯のメニューはただの焼きそばへ変更、タコの刺身をおかずとして出した。
いつも結果的に、良いような悪いようなよくわからない方向へ落ち着くのだ。天然もいい加減にしてほしい。
バーゲンセールが行われるスーパーに向かう父を見送って、帽子を目深に被り少年を見下ろす。
「行くぞ」
「…ん」
「あ。そういえば聞き忘れてた。私は吉田志乃。アンタ、名前は？」
少年は、少しぶっきらぼうな様子で名乗った。
「…
「ふぅん。潘、ね。ま、家路まで責任持って送るよ。父さんにああ言われちゃ敵わない」
言われたことをこなしておけば、少なくとも父は怒らない。
めんどくさいトラブル事の回避が上手いのは、妹の特権とも言える。
潘は志乃の独特な雰囲気に未だ慣れないのか、プイとそっぽを向いた。
「別に俺一人でも帰れるし。ていうかアンタ俺の家知ってんのかよ」
「知らない」
「知らねーのかよ！？」
「うん。でもテキトーに歩いてたら着くでしょ」
「なんだよそれ…。志乃ねぇってロクドーみたいな事言うんだな」
「は？今何か言った？」
「別に何にも」
潘の反応を意にも介さず、隣を歩いていく。
最初にも言ったが、この日志乃は望まない再会を果たす。
少なくともこの出会いが、最悪な結末の序章に過ぎなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» わぁい、ありがとうございます！(両手を上げてステップしながら狂喜乱舞) (2020年8月4日 20時) (
レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
瑠碧(プロフ) - 殺意を抑えようとブツブツ呟いてる志乃ちゃんクッソかわよ絶対に推し続けるわ← (2020年8月4日 11時) (レス) id: 3cee96974c (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - リリアさん» ありがとうございます！御一行出したくて出したくて仕方なかったので、ようやく出せて一安心です。これからもよろしくお願いします！ (2020年7月30日 12時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - はじめまして！御一行がではじめてからますます面白くなってきました！！これからも更新頑張ってください！ (2020年7月29日 21時) (レス) id: 4a2141df19 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» ありがとうございます^_^これからもよろしくお願いします。 (2020年7月26日 13時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミサ | 作成日時：2020年7月23日 12時
