80-4 610 ページ21
「あっ、そうだハジメ。俺志乃に会いに行ってくるんだった」
思い出したようにくるりと踵を返して逃げようとしたジューゴだったが、すぐにハジメに首根っこを掴まれた。
「だから行かせねぇっつってんだろ！そもそもまだアイツは意識が戻ってねぇんだよ！」
「いーじゃねぇか別に会うくらい！」
「てめぇ自分が囚人だって自覚あんのか！？」
「あ、そうそう。俺ちゃん15番ちゃんに聞きたいことあったんだ」
「俺に？」
「15番ちゃんさ、610番の男って知ってる？」
610番。かつて南波刑務所に収容されていた囚人。
難攻不落とされるこの刑務所を脱獄した、たった一人の囚人。
そしてーージューゴの父親でもある男。
「6…10番…？」
しかし、その番号を聞いたジューゴは、首を傾げた。
「誰だ？そいつ」
＊＊＊＊＊＊＊＊
一方医務室。その一室で、志乃は眠り続けていた。
先の件で力を使い果たし、以来眠りから覚めないままだ。
おかげで彼女から情報が何一つ得られない。一刻も早い回復が望まれた。
深い意識の底で、志乃は夢を見ていた。
夢、といったが架空のものではない。いわば思い出だ。
忘れたくても忘れられない、あの男の夢。
志乃にとって、その男は人生における誤算だった。
掴み所のない彼から送られる、一方的な好意。目の前にした途端、何故か失せる殺意。
たとえ命令だとしても、あの男だけは捕まえることはできなかったし、むしろこちらがよく捕まった。
初めて出会った時から大嫌いだった。
できれば二度と会いたくないし、会おうとも思わない。
だけど、永遠に忘れられない。
610番の男を。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» わぁい、ありがとうございます！(両手を上げてステップしながら狂喜乱舞) (2020年8月4日 20時) (
レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
瑠碧(プロフ) - 殺意を抑えようとブツブツ呟いてる志乃ちゃんクッソかわよ絶対に推し続けるわ← (2020年8月4日 11時) (レス) id: 3cee96974c (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - リリアさん» ありがとうございます！御一行出したくて出したくて仕方なかったので、ようやく出せて一安心です。これからもよろしくお願いします！ (2020年7月30日 12時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - はじめまして！御一行がではじめてからますます面白くなってきました！！これからも更新頑張ってください！ (2020年7月29日 21時) (レス) id: 4a2141df19 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» ありがとうございます^_^これからもよろしくお願いします。 (2020年7月26日 13時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミサ | 作成日時：2020年7月23日 12時
