南波日常小話【12-1】 ページ16
【双子メイドとシロガネ】
今から数年前の話。
仕事がお休みの今日、一索先生の診察も終わったところで、部屋に戻る。
その途中で、冥くんと会った。私を一目見ると、一瞬立ち止まる。
ニコニコしながら笑顔で近付いていくと、冥くんはものすごく嫌そうな顔で私を見た。
ひどいなぁ、お前らの可愛いお嬢様だぜ？もうちょっと恭しくお辞儀するとかさ、あるでしょ。
「そんな目で見ないでよ。別に何をしようってわけじゃないんだから。ただ挨拶しただけなのにひどいよ」
「てめぇの胸の内に聞いてみろや。何故俺達がてめぇを嫌ってるかってよ」
「んー、特に何もないけど？」
「ッチ。あーもうめんどくせえから近寄んな。とっとと先行け」
流石に会う度にスカートめくりしてたらこうなるよねぇ。わかってたっちゃわかってたことだけどさ。
ま、どうでもいいや。今日はなんか疲れてるし。一日ゴロゴロしときますかね。
「じゃあねー、冥くん。お仕事頑張ってー。君の仕事すごい丁寧で、きちんとこなしてくれるから好きだよ」
「！！」
去り際に心にもない事を言い放ち、冥くんとすれ違った。
＊＊＊＊＊＊＊＊
またある日、冥くんと異土くんの仕事終わり、これから晩ご飯だという時に、二人を外に連れ出す。
連れて行った場所を見て、異土くんが目を輝かせた。
「お嬢様…ここ」
「うん。異土くんが見てたチラシのお店。さ、入ろっ」
「えっ…でもお嬢様…」
「いーからいーから！今日は私が奢るよ〜」
遠慮がちな冥くんの背中を押して、無理矢理店内に押し込む。
店の中に入ったからには、もう引き返せない。冥くんも観念したようだ。
メニューに釘付けな異土くんに並び、冥くんも隣に立つ。
「二人とも決まった？」
「うん。俺これのLLサイズ取り敢えず五つ」
「…………ん？」
聞き間違いか？と思ったものの、異土くんの表情を見て悟る。うん、聞き間違いじゃないな！
「あ、じゃあそれとこれでお願いします」
「ありがとうございます。お会計はーー」
＊＊＊＊＊＊＊＊
「…なんか悪いな、お嬢様」
「ううん…。二人は何も悪くないよ。私の調査ミス」
あの後、5個じゃ飽き足らず+10個をペロリとたいらげた異土くん。
おかげで給料1ヶ月分は軽く消えてった。残念ながら現実なんだよなコレ。
普段無表情の異土くんが、にこりと微笑む。
「ありがとうお嬢様」
「…どういたしまして」
この日を境に、二人との距離がグッと縮まった。向こうから一方的に。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» わぁい、ありがとうございます！(両手を上げてステップしながら狂喜乱舞) (2020年8月4日 20時) (
レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
瑠碧(プロフ) - 殺意を抑えようとブツブツ呟いてる志乃ちゃんクッソかわよ絶対に推し続けるわ← (2020年8月4日 11時) (レス) id: 3cee96974c (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - リリアさん» ありがとうございます！御一行出したくて出したくて仕方なかったので、ようやく出せて一安心です。これからもよろしくお願いします！ (2020年7月30日 12時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - はじめまして！御一行がではじめてからますます面白くなってきました！！これからも更新頑張ってください！ (2020年7月29日 21時) (レス) id: 4a2141df19 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 瑠碧さん» ありがとうございます^_^これからもよろしくお願いします。 (2020年7月26日 13時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミサ | 作成日時：2020年7月23日 12時
