28-2 嵐の予兆 ページ5
「…お前さ」
「……ずずっ」
「私の制服に鼻水付けたらぶん殴るからな」
「…そこは普通言うなよ」
「洗濯大変だし汚れるの嫌なんだよ。察せバカ」
「うるせぇ…」
私から離れ、ゴシゴシと目元を擦るジューゴの頬にハンカチを押し当てた。
「オイ、何すんだよ…」
「目元赤くなって心配されたいか？ほら、いいから拭け」
「ずびっ」
「あぁっ！てめっハンカチで鼻かむんじゃねぇよ！返せ！」
「貸したり返したり何なんだよ…」
最悪っ！よりにもよってお気に入りのハンカチだったのに！
ジューゴからハンカチを奪い返そうとした時だった。
…誰かいる。
気配を感じ取った私は、ハンカチから手を離し、辺りを見渡す。
前方の扉の前に、ロックが一人で立っていた。
ジューゴも私に続いて彼に気付き、私の隣に並ぶ。
「ロック…？」
「……………………」
だんだんと、こちらへ近付いてくる。
あれ？そういやロックって、副主任や九十九と一緒にいたんじゃなかったっけ？
星太郎さんがそう言ってたから、間違いはないはずなんだけど…？
「よ…よぉ。お前五舎に行ってたんだってな。一人で帰ってきたのか？」
違う。そんなこと普通にできるのはジューゴだけだ。
…おかしい。何かがおかしい！
私は咄嗟にジューゴを押し退け、ロックの前に立つ。
既に振り放たれていた拳を、両腕で防御した。
っ、コイツ力強い…！
「お前…一体何のつもりだ」
「…………」
「ロック…？お前、何してんだよ…」
何を問うても、ロックは無言で私達を冷たく見据える。
理由がどうあれ、看守相手に手あげようとしたってことは、もうそういう事だ。
それにこの力量差、さっきは受け止めきれたものの、さらに強い力でやられちゃこっちが危ない。
仕留めるなら一瞬で…！
「ちったぁ喋りやがれクソッタレがぁ！！」
左腕でロックを押し、前傾姿勢の勢いで殴る。
グッと拳を固めた時だった。
「志乃…！」
背に庇っていたジューゴが、右腕を絡め取り、私を制止した。
「お前っ、邪魔だ離れろ！今の状況わかってんのか！」
「待ってくれ、頼む…！」
「んなこと言ったって…！」
右腕を振りほどいた瞬間、こちらに向けられた嫌な予感。
ハッと振り向くと、ロックのパンチが、私の顔の右側を確実に捉えた。
口の中が切れ、血の味が広がる。
目元を狙われた。失明はしていない。殴られる瞬間、避けられたのが幸いだった。
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ミサ(プロフ) - イマツギさん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2020年5月2日 1時) (
レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！これからもどうぞよろしくお願いします。 (2020年5月2日 1時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年5月1日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 続編おめでとうございます！！ (2020年4月25日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサ | 作成日時：2020年4月25日 15時
