37-2 流し流され辿り着く ページ33
「志乃さんって泳ぐの苦手だったの？そんな状態でよくジューゴくん守れたね」
「苦手じゃねぇ、かといって得意でもないけど…。それよりここどこだ」
何やらイラついてる様子のハニーに声をかけると、一拍おいて答えてくれた。
「さっきので地下二階まで流されたみてぇだ。構造はあのおさげ野郎が言ってた通りらしい」
「ふーん。要するに距離稼げたってことか。ラッキー」
「志乃さんタフだね…」
どっちにしろ下へ降りる予定だったんだ。
総合的に考えて降りれたのならOK。良い方向の結果だからいいんだよ。
終わり良ければすべて良しって言うだろ？まだ終わってないけど。
「オイ志乃さん」
「ん？」
みんなが様子を伺いながら歩いている途中、ハニーが私に並んだ。
「何でアイツを助けたんだ？」
アイツ、と言いながら、目線でジューゴを示す。
何で、って…そりゃ決まってんだろ。
「だってアイツ囚人だし。つかお前もそうだけど、アンタらを守るのが私の仕事だからな」
「別にヤローなんざ守ってやる道理なんてねぇだろ」
「だってアイツ私より弱いし。つーかこのメンツで私より強い奴いないだろ？私と渡り合えるくらいのもいないじゃん」
そしたら必然的に、お前らを守るのは私の役目になるんだよ。
わかったか？とハニーを見上げると、納得のいかない表情だった。
「だったら何であの野郎を置いてかねぇんだ。俺達は逃げ足も速いし申し分ないだろうが、アイツは足も遅けりゃ体力だってねぇ。だからさっき志乃さんはアイツを庇って溺れたんだろ。アイツがボサっとしてなけりゃ、志乃さんが無駄に気ィ遣う必要だってねぇじゃねぇか」
…ああ。なるほどね。
「要するにお前はジューゴが気に食わない、そう言いてぇんだな？」
「ああそうだ」
「ふーん。そうかい」
並んでいたその場所から、一歩前に踏み出す。
「オイ…」
「あのね、ハニー。アンタにはわからないかもしれないけどさ、私にとってジューゴは、私の罪そのものなんだ。私がかつて行った所業のカタチ。アイツはその中の一つに過ぎない。だから今度こそ、私が守らなきゃいけないんだ」
ハニーを振り返って、ニッと笑う。
「理解できなくたっていいよ。これは私の贖罪だ」
ハニーの返事を待たずに、ジューゴ達の元へ小走りで向かう。
これ以上何かを言うと、ハニーがまた爆発するかもしれない。
それはそれで面倒だから避けたいところだ。
37-3 流し流され辿り着く→←37-1 流し流され辿り着く
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミサ(プロフ) - イマツギさん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2020年5月2日 1時) (
レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！これからもどうぞよろしくお願いします。 (2020年5月2日 1時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年5月1日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 続編おめでとうございます！！ (2020年4月25日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミサ | 作成日時：2020年4月25日 15時
