27-1 生きろ ページ1
少年を睨みつけた瞬間、不意に少年がジューゴの頬を鷲掴んだ。
口元を覆うように押さえつけられ、床に叩きつけられる。
明らかに、先程と雰囲気が変わった。
「『そいつ』？てめぇ…そりゃ誰のこと言ってんだ？気安く『あの方』のこと言ってんじゃねぇぞ木偶検体風情が。やっぱりあの時、ぶち殺しておくべきだった。そうすればこんなクソ刑務所なんざ来なくて済んだのによぉ。まったく、厄介な所に逃げ込んでくれたぜ」
押さえ込む力が強くて、逃げられない。
耳に冷たい金属があてがわれ、冷酷にも切り裂いてくる。
「もう、逃がさねぇ」
＊＊＊＊＊＊＊＊
両手にそれぞれナイフを突き刺され、耳から徐々に顔を切り裂かれていく。
ブチブチュと、肉を断つ音が迫る。
体が震えて止まらない。
「お前がいなくなってからどれだけ苦労したと思う？お前の『そいつ』は僕らのモノなんだから。勝手に持ち逃げされちゃ困るんだよ。よりによって刑務所を渡り歩きしやがって。ここにいる時のお前の間抜け面には反吐が出る。血反吐が出るくらい気分が悪い。ここにいる全員に殺意が沸く」
ぐいっと顔を横にさせて、埋め込ませていたナイフを一度引き抜く。
「まぁそれはそれとしてとりあえず僕の仕事を先に終わらすかな。お前の『脳』を持ち帰るだけなんだけど。
少年はおもむろにペンを取り出して、ジューゴの顔に点線を描いていく。
ちょうど口の端を基準に引かれたそれは、一体何のための線か。
「要は『脳』を持って帰れればいいんだから、目から上、上顎から上だけ持っていけばいくらか軽くなるじゃん」
まるで大きな荷物を小分けにして運ぶように。
それくらい簡単な調子で、少年は言ってのけた。
サッと頭から血の気が引いていく。
体の震えが止まらない。呼吸が落ち着かない。焦点が定まらない。
ただただ迫り来る、「死」。
殺される。殺される。殺される。殺される。
ーー生きろ。
頭の中で、小さく響いた言葉。
刹那、ジューゴは左腕だけを変化させ、少年のナイフを切り裂いた。
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ミサ(プロフ) - イマツギさん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2020年5月2日 1時) (
レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサ(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！これからもどうぞよろしくお願いします。 (2020年5月2日 1時) (レス) id: a8a88a74d7 (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年5月1日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 続編おめでとうございます！！ (2020年4月25日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサ | 作成日時：2020年4月25日 15時
