『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:12 (ページ10)

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151-1 反撃の準備ページ10

えっ。何これ。何この状況。
ポカンとした顔のままの私を置いてきぼりに、シスはこちらを覗き込んでくる。

「大丈夫ですか？志乃さん」
「あ、あぁ…ありがとう、シス」

私の無事を確認したシスが、ゆっくりと床に下ろしてくれる。
ふと、上空から先程ぶん投げたウノの声が降ってきた。鼻が若干赤らんでるのを見る限り、顔面で着地したのだろう。はっ、ザマァ。

「志乃ちゃん！大丈夫か！？一体何が…」
「私は平気だ。それよりそっちは？」
「俺もなんとか！すぐそっち行くから待っててくれ」

そう言って走っていくウノを見送って、隣にいるシスに向き直った。

「さっきは本当にありがとう。助かったよ、シス」
「いえ。志乃さんは大切な未来の死神教信者。良いお答えを聞かせていただけるまでは僕が守りますよ」
「……あぁ、そう…」

うわぁ…予想はしてたけどブレねぇな、こいつ…。

これこの場で「入ります」って答えたら仲間として受け入れてくれる？
あ、でも戻れない可能性があるわ。やめとこ。

「志乃ちゃん！」

あ。ウノが戻ってきた。
こっちに走ってくるなり、ウノは私の肩を抱き寄せる。

「だ、大丈夫か！？だってアイツ…」
「？」

何？どういうこと？もしかして、ウノはシスについて何か情報を持ってるのか？

何だよ、とアイコンタクトを送ると、ウノが耳打ちしてくる。

「さっきの競技で貰った福袋に、アイツの情報が入ってたんだよ。んで、罪状が…」
「殺人未遂、か？」
「んげっ！？何で知ってんだよ？」
「いや、お前の焦りようでなんとなくそうかなって。私が殺人未遂犯と二人きりで不安だったんだろうが……言っとくけど私の方が罪状重いからな？」
「……あ、そうだった。志乃ちゃん元殺し屋だったね…」

そうだよ。シスは未遂だけど私はもう殺っちゃってるからさぁ。超えちゃいけない線、とうの昔に超えまくっちゃってるからさぁ。
しかもそれ、1回じゃまだしも10000回くらいやっちゃってるの。だから未遂犯ごときに恐れること何もないんだよね。だって私の方が圧倒的に罪重いもん。

ふとここで立ち返る。ホント何で私看守できてんだろ。