『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:12 (ページ27)

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155-2 クーデター開始ページ27

ッバキャァ！！

志乃の全力と五浄の風が合わさり、ボールが竜巻を纏い飛んでいった。
飛来するボールは防壁を直撃し、削り取らんとばかりに回転する。

「まだわからないのか？お前の攻撃などこの守護の前には無力だ。何を仕掛けようと無駄だぞ」

ケペルの発動するバリアは、ボールを弾き返した。予想通りの結末に、ナイルは高笑いを隠さない。その場の誰もが、やはりダメかと諦めかけていた。
しかし、志乃は相変わらず彼らを見据えるだけだった。

「そう逸るなよ、王様」

そう言って、呆れたように笑みを浮かべる。
攻撃が防がれたというのに、どうして余裕が崩れないのか。彼女の意図が読めず、ナイルは眉を寄せた。

「…何だと？」

そういえば、と周囲を見渡すと、先程こちらを強襲したボールがどこにもない。
転がって死角に入り込んだのか？いや、この広場のようなフィールドで、それはありえない。

その時、ナイルの耳に「ピシッ」と小さな音が入る。音がしたのは、足下からだ。同時に、背筋に冷たいものの伝う感覚が、ナイルを襲う。

「さっきからこのボール、私の死角ばかりを狙って飛んできてた。機械だって聞いて納得したよ。こいつは初めからそうプログラミングされてんだ。だったら、誰が打とうが同じ結果になる。一度ボールを止めてリセットして、狙いを私からアンタに切り替えた」

志乃は地面に着地しながら、とうとうと話し続ける。銀色に輝く長髪を手で払い除け、不敵に笑ってみせた。

「もうわかるだろ？ボールは確実に、お前の死角を狙う。ーーお前達の真下から、な」

ドゴォッ！！

次の瞬間、地面を突き破ってきたボールが、ナイルの顎を穿った。ボールはそのまま防壁の天井にぶつかり、跳ね返る。

「まさかこんな方法で当てるなんてね。でも今回は場所が悪かったようだ」
「場所？どういうことだ」

ナイルに操られているアキに、志乃はきょとんとして彼に問いかける。