『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:12 (ページ25)

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154-5 攻略法ページ25

「どうした少年(クソガキ)王。何も言い返せせねぇか？やはり私の見立て通り、お前は世間知らずの裸の王様だったわけだ」
「……ほう？お前は王の慈悲が要らぬと？この中で唯一、王に仕えることを許されているのに、お前はそれを拒むと言うのか」
「慈悲ぃ？ハッ、そんなもんクソ喰らえだっつーの。この私を誰だと思っている？この世で最も恐ろしく最も強い、“万人斬り”銀(シロガネ)様だぞ。私より格下の王様なんざ、相手になるかよバーカ」

口角を吊り上げ、ニヤリと意地悪く笑ってみせる。

さぁ、どうだ716番。乗れよ。乗ってこい！
こちとらお前がキレて私の策に嵌るのずっと待ってるんだよ！もう遅すぎてこっちがキレそうだわ！

ねぇ私から仕掛けちゃっていい？やっちゃっていい？
でもダメなんだよなぁ。だって私が待ってるのは、あくまで716番じゃないからな。

「ーー……いいだろう。ならば、望み通り潰してくれる」

っしゃ来たァ！ついにきたー！！乗りやがった、コイツ！！
716番の目が青く光り、アキに命じる。

「やれ」

アキがボールを放り投げ、空高く飛び上がった。
その姿から目を離さない。彼が私に狙いを定め、その一撃の様を見届ける。

『ここで渾身の一発が放たれたぁああ！こいつをまともに食らったら、ジョーダンじゃすまなそうだぜぃ。だが、対する志乃ちゃん一歩も動かない！オイオイどーーするつもりだぁぁぁ！？』
「志乃ちゃん！」

いつもうるさい一声部長の実況が、何故か心地良く聞こえる。
迫り来るボールが風を切る音も、観客の悲鳴も。

不思議だ。今の私、ひどく落ち着いている。
命を賭けるつもりはない。賭けるほどのものじゃない。こんな攻撃、私にとってそう呼べるものでもない。

こんなの、逆境でも何でもない。だって、だって私はーー。

ビュオオオオオオッ！！