『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:12 (ページ23)

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154-3 攻略法ページ23

「くっ…すみません、志乃さん…！」

なるほど、九尾主任のものか。つーかこの人こんな技持ってんのか。前に五舎で見た法子さんの技と似てるけど、少し違う感覚がする。
でも、対策法は同じ。軽く息を吐いて、私に纏わりつこうとする札を、刀で切り裂く。

ーーサンッ！！

うん、まだ出来るな。一度見たものが二度私に通用すると思うなよ。
このまま次は九尾主任を無力化して…。

「！」

また札が襲い来ると思ったのに、「次」が来ない。
何だ、と九尾主任のいる上階を見上げると、彼の前に猿門さんが立ちはだかっていた。

「猿門さん…」
「やっぱりな。お前ならこうするだろうと思ったぜ。その一人で何でもやろうとする癖、改めろって言ったの忘れたか？」
「はい、忘れました」
「ハッキリ言ってんじゃねぇ！！テメェ上司の言葉を忘れるたァ何様だコラァ！！」
「上司だとは思ってないからですかね？」
「キィィィィ！！後で覚えてろよクソガキぃ！！」

えー、助けた後に怒られるパターンですかこれ。何でよ、私別に何も悪い事言ってないよ？事実しか口にしてないよ？

キョトンとした顔で首を傾げたら、舌打ちが返ってきた。何だやんのかコノヤロー。

「こちとら散々放置されてんだ。ちょっとくらい活躍させてくれても罰は当たんねーだろ」
「出番欲しがる子供かよ」
「うるせぇ！！」

どうやら猿門さんが、「気」の術で九尾主任を抑え込んでいるらしい。
うん、それならそっちの方が絶対にいい。私なんてぶん殴って気絶させようとしてたからね。動かなくなるしちょうどいいでしょ、って。
うーん、上司をシラフで殴れるとか、我ながら嫌な部下だねぇ。上下関係の認識どーなってんだろ。

ともかく、これで2人。あと、一人。その一人からの攻撃が飛んできて、私の足下に当たる。

「くそっ…」

悔しそうに歯噛みするアキと目が合う。それに対し、私はフッと笑って返した。

「安心しろアキ。お前は私が必ず助ける」
「！君…」
「だから待ってろ。すぐ終わらせてやる」
「ーーククク。口だけは達者なようだな、女」

アキにそう言い切った私を、716番は嘲笑った。穏やかだった表情も、一気に冷めていく。