153-5 腹の底を覗き見る ページ20
背筋が一瞬で冷え切るような感覚を味わったのは、一体何年振りだろうか。
それこそ、殺し屋時代でも数えるほどだった気がする。そんな恐怖と、私は今対峙している。
ミーラの腹から、そこを裂くように手が現れた。
「ーーッ！！」
『おいおいおいコイツはどういうことだぁ！？316番の中から何かが出てきたぜぇえ！』
「こうして日の光を浴びるのはいつぶりか。最後に見たのは囚人共の悲鳴が轟いた日だったか。あの日はとても心が踊ったなぁ」
腹の中から這い出るように上半身をもたげる。
首から下げられた、囚人番号の記載されたプレートは……真っ黒だ。そこに刻まれていたのは、「12716」の数字。
おいおいマジかよ。本当にそうだとは聞いてねぇって…！
「見事だったぞ。この短時間で『王』の存在に気付くとはな。久々だぞ。直ぐに殺すのは惜しいと思ったのは」
「…………ッ！」
黒い眼球の中に、青白く光る目。見ているだけで吸い込まれそうになる。
これが、716番…。ブラックプレートの、超危険な死刑囚…！
自分を操っていた真犯人の姿を見たアキが、悔しそうに呟く。
「あんな子供が犯人だっていうのか。まさか看守ではなく、同じ囚人に操られていたなんて…」
「『同じ』だと？貴様らと王を一緒にするな」
716番がアキに手を伸ばす。
何をする気だ、アイツ…！？戦闘体勢に入ろうとした瞬間、716番をケペル主任が止める。
「やめよ716番。殺せば失格になるぞ」
「…っち。つまらん」
ケペル主任の制止を、あっさり聞き入れた…？
何だアイツ。あの手の連中なら、絶対言うこと聞かないと思ってたのに。何か理由があるのか？
どうやら今のところ、最悪の事態にはなりそうにないな。
でも、警戒は緩めない。マックスではなくとも、必要最低限は気を引き締めておく。
そうじゃないと、こんなヤバい存在と立ち会えない。出来ることなら今すぐ潰した方がいい。私の勘がそう言ってる。
「まぁ良い。さぁ、余興を続けよう。せいぜい王を楽しませてくれ」
…何なんだコイツ。なんか、こう…ムカつく。
上から目線で、私達に戦いを命じるとか。こちとら遊びでやってんじゃねぇっての。
まぁ、殺し合いの点を差し引けば、まだ平和な方ではあるのかもしれないけど。
今「いやお前も基本上から目線じゃん」って思った奴はそこ正座ね！
後で片っ端からビンタしてまわるから！！
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きえ(プロフ) - 久々の更新ありがとうございます！ (1時間前) (
レス) @page32 id: 3e2dfb3761 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続編おめでとうございます‼️ これからも楽しく読ませていただきます❗ (11月16日 21時) (レス) id: b41969ae61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミサ | 作成日時：2023年11月16日 21時
