『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:12 (ページ19)

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153-4 腹の底を覗き見るページ19

「ケペル主任が人を操れるって言ったのは、自分に注意を引かせるためのフェイクだったわけか。先入観を与えてより信じ込ませるために…」
「ま、一番の引っ掛かりは別にあるけどな」

ウノの視線が、ミーラから散々話を合わせていた私に移る。

ん？何だよ。私に何かヒントでもあったのか？

「仮に看守が人を操れるなら、おかしい点が一つある。操った個人の能力すら使わせることが出来るなら、操る人物は自然と一人にしぼられるはずだ。看守なら絶対に、そいつの恐ろしさを知ってる。この中で一番強くて、どんな相手にも対応できる技術を持ってる。操るのにピッタリな、適任者がな」
「……！」

…なぁんだ。結局考えてる事は同じだったのか。
ウノも、ケペル主任の矛盾した非効率的なやり方が気になってたのね。

つーかお前、よくわかってんじゃねぇか、この中で一番危険なのが誰なのか。
えらいぞ。後でよしよししてやろうな。

さて、あとはミーラの正体についてだけど。
ちなみに私はそこまでは考えてない。相手が何であれ、ぶっ潰すのに変わりないし。
ウノはそこまでも読めてるんだろうか？ここら辺、マジで相談とか何もしてないから、アイツがどこまで知ってるかわからない。ま、どうなろうと対応できるのが私だけど。

「なぁ十二舎の主任さんよ、教えてくれねぇかな。アンタがそこまでしてその囚人の素性を隠すのは、そいつがブラックプレートの囚人だからじゃねぇのか」
「！？」

ブラックプレート…！！
まさか、マジでそんな奴が、代表になってるってのか！？

改めて、目の前に立つミーラを見据える。
奴が本当にブラックプレートの囚人なら、今後は油断も隙も見せない方がいい。まさか、そんな厄介な奴を代表に選ぶなんて…。
しかも、他の囚人と偽って出場登録するとか、ケペル主任何考えてんだよ！？

「一体さっきから何の話をしている。憶測だけでものを語るなど…」
「もういい。奴の言った事は全て事実。今更しらを切っても見苦しいだけだ。やれやれ、せっかくの余興が台無しだ。やはり従者は適当に選ぶものじゃないな」

ゴキ、ゴキ、と音を立ててミーラの体が不可解な動きをする。
まるで体の内側から、何かが食い破って出てくるような感覚。

それと同時に、私の中で危険信号がけたたましくなる。
今すぐこの男を殺せ。そうでなくては、先に殺される。心臓がいやに高鳴って、落ち着いてくれない。