『万人斬り』の刑務官【ナンバカ】season:12 (ページ15)

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152-3 この世で最も強い奴ページ15

いくらDが重たくても、流石にそのまま落とすのは良心が痛む。私はなんとか足で踏ん張りながら、ゆっくりとDを地面に置いた。
あー、マジ重かった。久々に人抱えて重いって感じたわ。

Dの様子を確認する。目を閉じているが呼吸はある。意識を失っているみたいだ。全く動く気配はない。

…ん？動く気配はない？さっきまで操られてた奴がか？それってつまり…。

上の足場から、シスに指示を出していたらしいウノがこちらを見下ろす。

「操られてるのが肉体だけなら、五舎の札よりよっぽどイージーだな。どんなに操縦士が優秀でも、乗り物本体がぶっ壊れりゃ使えねぇってことよ。それにしても随分簡単なトリックだったな。あんたら、自分の視界にいる相手しか操作できねぇんだろ？」
「なるほど。先程の奇襲が成功したのは、志乃さんが奴らの視界を煙幕で遮ったからか」

あー、さっきバリア壊すために爆弾投げたのが、偶然にも良かったわけか。煙がちょうど奴らの目眩しになった、と。
うん、結果オーライだな。ま、操りのカラクリなんて、そこまで複雑だとは思ってなかったけども。

だって、明らかにおかしい点があるんだもん。
操っていても、その本人の技を無理矢理使わせることができる。そんな素晴らしい術を持っていて、尚且つ囚人・看守の情報を知り得る主任さんなら、操るべき人物は自然と一人に絞られるはずだ。

この中にいるんだよ。この世で最も強い奴が。まどろっこしい事を嫌うならば、絶対に操るべき人物が。
そいつを使えば、全員制圧できる。そんな激ヤバな奴がさ。

なのに、それを利用しないということは…。戦闘体勢を解き、ケペル主任を見据えてニヤリと笑う。

「なぁオイ、黄金マスクの主任さんよぉ。こんなくだらない茶番劇、もう終わりにしねぇか？」
「何？」
「そろそろ、自己紹介してくれてもいいんじゃねぇの？俺はもう、あんたの正体にも気付いてるんだぜ？」

そう言って、ウノが指さした先にはーー十二舎の囚人代表、316番(ミーラ)がいた。