お茶子ちゃん ページ7
その時、背後の扉がまた開いた。
「あ！そのモサモサ頭は！！地味めの！！」
聞こえてきたのは、女の子の声だ。茶色い髪の女の子は、緑谷くんに親しい様子で話しかけている。対する緑谷くんは顔真っ赤にして両腕を使って顔を隠してた。
そしてまた、今度は女の子がボクを見る。
「あれ？この子は？」
「あ…初めまして。於野Aです。よろしくね！」
「私、麗日お茶子！こちらこそよろしく！」
ふわぁぁ…！初めて女の子とお喋りしちゃったよ…！なんか感動しちゃうなぁ！
隣で緑谷くんがまた「相乗効果による驚きのリラクゼーション効果…！」と感涙した様子で目を塞いでいた。
「Aちゃんも同じクラス？」
「あ、えと、そうなんだけど…せ、制服の着付けがわからなくて。それで、教えてもらおうと…」
「そっか！だから巫女さんの服着とるんやね」
「着物しか着たことないから…お洋服は着せてもらったことはあるんだけど」
そうだよなぁ…お洋服も普通に着られるようにならなきゃいけないよね。消太さんは世間体とかそんなに気にしてない人だから、服については何も言わなかったけど…
「今日式とかガイダンスだけだったら、制服着とかんとね。先生ってどんな人かなぁ、緊張するよね」
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ」
足元から聞こえてきた声に、びくりとする。視線をそこへ投げると、寝袋に包まってゼリー飲料を豪速で飲み干す消太さんがいた。
「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠けるね」
「し…消太、さん」
ぬー…と寝袋から出る消太さんを見上げる。
「於野、ここにいる時は“先生”だ。そして名字呼び」
「あっ！ごめんなさい！」
「“ごめんなさい”じゃなくて“すみません”な」
「すみません！！」
緑谷くん達は、勢いよく頭を下げるボクと相澤先生を交互に見ていた。
「於野さん、知り合いなの？」
「ボクがお世話になってる人だよ」
「1–A担任の相澤消太です。よろしくね」
「担任！？」と驚いている緑谷くん達をよそに、相澤先生は寝袋から服を一着取り出す。
「早速だが、
そう言ってみんなに服を渡していく。ボクの番の時、「於野」と相澤先生が呼び止める。
「どうしてその服のままなんだ」
「その…学校に無事辿り着いたんですけど、教えて下さる方がどこにいらっしゃるかわからなくて」
「…今回は俺が悪かったな。すまない」
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作者名：ミサ | 作成日時：2018年9月1日 12時
