轟邸 ページ49
次にボクが目を覚ましたのは、和室だった。木目の天井と下には敷布団と畳。ボクの部屋かと一瞬思ったけどそれにしては妙にこざっぱりしている。
“個性”を使った反動か、長い間寝ていたからか。身体と頭がやけに重い。
「んー…」
まだ怠いのを感じながら、上体を起こす。
…あれ。服…変わってる。気を失うまでは体操服だったはずだけど、ゆったりとした服…パジャマっていうんだっけ。しかも結構ダボダボ。
ていうか、ここ、どこだろ…
その時、左側にあった障子がサーッと開いて、白と赤の髪の女の人がこちらを覗いていた。
「あ…よかった、起きたのね。身体大丈夫？まだ辛い？」
「あ、えと…い、いえ。大分楽になりました…」
女の人はにこりと優しく笑いかけて、ボクの元へ歩み寄ってくる。手には水の入った桶と縁に掛けたタオルが。
「汗かいてない？もしよかったらコレ使って」
「ありがとうございます…あ、あの…」
「ん？何？」
「あの、ここ、どこですか…？」
女の人からタオルを受け取りながら尋ねると、女の人は「あぁ」と言って答えてくれた。
「そうよね、眠ってたからわからないよね」
「はい…」
「じゃあまず自己紹介するね。私の名前は轟冬美」
「とどろ…えっ、とっ、轟くんのご家族ですか！？」
「焦凍のことね。そうよ」
「わ、わわ…あ、あの、ボク、於野Aといいます！えと、その…」
「あはは…そんな慌てなくても大丈夫。貴女のことは焦凍から聞いてるから」
まさか、轟くんのご親族だったなんて…
ていうかここ、轟くんのお家だったの！？何で！？何でボクここにいるの！？
えっ、ちょっと待って。ボク確か、USJで気を失っちゃってそれから…どうなったんだっけ？消太さんは！？みんなは！？
「今焦凍呼んでくるから、ちょっと待っててね」
冬美さんはそう言って、席を外す。
部屋に一人ポツンと取り残され、少し冷静を取り戻した。
何でボクがここにいるか、あの後みんなはどうなったか…全部轟くんが知ってるかも。みんな…何事もなければいいけど。
サーッ。
障子が溝を滑る音がして、顔を上げるとラフな私服姿の轟くんが立っていた。
「於野…起きたんだな」
「轟くん…みんなは…！？」
隣に腰掛けた轟くんに勢いよく詰め寄る。
「クラスのみんなはほぼ全員無事だ。緑谷とお前を除いてな。相澤先生は酷い怪我で、あの後意識を失ったらしいが…応急処置が成されていて、今後の活動に大きな支障は出ないらしい」
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作者名：ミサ | 作成日時：2018年9月1日 12時
