戦え ページ37
消太さんをセラピーバタフライーーピーちゃんに任せて、弔さんを振り返る。傍にはあの黒い怪物、そして黒霧さん…
油断はできない。一瞬の隙が命取りになる。
今日ボクが産み出したのはこれで二体目。
残り二体、もしくは一体でこの状況を覆さなきゃいけない。
4体全員産み出せば、体の限界がきて気を失う。そうなれば向こうの思うツボだ。
だからと言って、「
もう最悪だ。どうしてボクの“個性”ってこんな使い勝手悪いんだろう…
「A」
この声で、何度も名を呼ばれた。
外の世界を知らなかった頃の記憶が蘇り、意識を三人に戻す。
「何故脳無の邪魔をした?お前さえ割って入ってこなければ、今頃そいつを殺せたのに」
そいつ、とは消太さんのことで間違いないだろう。
殺せただって?ボクの“おひさま”を傷つけるなら、貴方だって許さない。
キッと弔さんを睨んでも、顔に付けた“手”のせいで表情が読み取れない。
「何を突っ立ってる?さあ早くこっちに来い。一緒に帰ろう」
「嫌だ」
「……は?」
指の間から、弔さんの目が見開かれる。
明らかに機嫌が悪くなった証拠だ。ボクも何度も見たことある。
弔さんの指が、ガリガリと首を傷つけ始めた。
「…どういう意味だ」
「ボクはもう貴方の元にはいられない。やりたい事、やるべき事を見つけたんだ。ボクは、“おひさま”になる。みんなを照らし守れる…そんなヒーローに」
「……………………」
ボクを見つめる目に、怒りが灯った。
怖いのを我慢して、どうなっても動けるように戦闘体勢をとる。
「ふざけんなよA…ああ…あの時お前を逃がしちまったのが間違いだったんだ。あのままずーっと閉じ込めておけば、“おひさま”なんて大それた事は考えなかったのに…」
「…ッ」
「なぁA、お前が一体何になれる?神の依代として、空っぽのまんま生きてたお前を救い出したのは誰だ?警察もヒーローも、誰も救けちゃくれなかった。それでも踠いてたお前の手を掴んだのは…俺だろ」
弔さんが、ゆっくりとボクに近付いてきた。
********
「
No.2:セラピーバタフライ
“個性”「回復」
羽から舞い散る鱗粉を浴びると、傷だけでなく疲労や心労も回復できる!親の於野Aの癒しオーラを現実に変えた超万能回復キャラ!尚、単体では回復できるキャパが限られているので、必ず複数匹で行動する!
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作者名:ミサ | 作成日時:2018年9月1日 12時