“個性”的 ページ31
「待てよ梅雨ちゃん、オールマイトはケガしねえぞ。似て非なるアレだぜ」
切島くんナイスフォロー！知らないうちにありがとう！
よかったね緑谷くん！これで君とオールマイトの秘密はバレないよ！
「しかし増強型のシンプルな“個性”はいいな！派手でできる事が多い！俺の“硬化”は、対人じゃ強えけどいかんせん地味なんだよなー」
「僕は凄くかっこいいと思うよ。プロにも充分通用する“個性”だよ」
「プロなー！しかしやっぱヒーローも人気商売みてえなとこあるぜ！？」
「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み」
「でもお腹壊しちゃうのはヨクナイね！」
三奈ちゃんの指摘で青山くんの表情が若干翳ったような気がする。
気のせいじゃないね。そうだね。
「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪と於野だな」
「え？ボクも？」
ウソでしょ。二人はともかく、まさかボクまでカウントされるとは思わなかった。
すかさず切島くんが続ける。
「派手だろ！入試の話聞いてるぜ！ロボ相手に何もさせずに、一瞬で仕留めたって！昨日のオールマイトとの戦いも熱かった！流石入試トップは違えよな！」
「あー、ああ…あはは…」
「Aちゃんがプロになったらそのふわふわオーラに癒される人が増えそうね」
あれはまあ…グネグネテングシデちゃんに助けられたところが大きいかな。
あの日ちょうど産まれてきたのがその子で…パラちゃん(※パラサイトガジュマル)と一緒で、千切れてもすぐに新しく育つ「成長」っていう“個性”なんだよね。捕縛能力はトップクラスだよ。
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」
「んだとコラ出すわ！！」
「ホラ」
「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」
「てめぇのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ！！」
梅雨ちゃんに言われて上鳴くんにトドメをさされる。爆豪くん本当に怖い言い方するなぁ。
ここで笑ったらボクにまで飛び火しそうだ。触らぬ神に祟りなし、っと。
フゥと溜息を吐いて背凭れに体を預ける。
隣の席の轟くんが、「於野」とボクに呼びかけた。
「何？」
「疲れてないか」
「ああ、大丈夫だよ？」
「そうか。…なぁ、於野」
「なぁに？」
「疲れたらいつでもお兄ちゃんに頼っていいんだぞ」
「……………………う、うん…ありがとう……」
ボクは何か彼の触れてはいけないスイッチでも押してしまったのだろうか。
頭をなでなでしてくれる轟くんは取り敢えず良い人だ。
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作者名：ミサ | 作成日時：2018年9月1日 12時
