初めまして【緑谷side】 ページ4
超ギッチギチの通勤電車に詰め込まれ、目的の駅でようやく解放される。一息吐くのも束の間、早まる鼓動を感じつつ、足を踏み出す。
今日からここに通うことができる。
今や全国津々浦々のヒーロー学校。その最高峰ーー雄英高校ヒーロー科。
トップヒーローになるための登竜門とも言える場所。そして、僕の憧れ…No. 1ヒーロー・オールマイトの出身校でもある。
着慣れないブレザーの制服に身を包み、あの門をくぐった瞬間、なんとも言えない高揚感を覚えた。
これから始まるんだ。誰にも負けられない…
よし！頑張…
「すみませんっ！」
「へあっ！？」
意気込んでいたところで背中から声をかけられた。出し抜けな出来事に思わず声が裏返る。
振り返ると、そこには一人の女の子がいた。柿色の髪を簪で纏めていて、残った髪が彼女の動作に応じて揺れる。くりくりした大きな向日葵色の目を僕に向けていた。
ここで気になったのが、彼女の服装だ。それは所謂巫女装束というもので、この場にはあまりにも不釣り合い。一体彼女は何なのだろう…？
呆然としていると、彼女がオロオロと狼狽えたように話し出す。
「あの、その…きゅ、急に話しかけてごめんなさいっ。こ…
「え？え、えぇ、まぁ…」
雄英の生徒。そうだ、そうだよ！僕は今日から雄英の生徒になったんだ！朝からの高揚感が舞い戻ってきて、表情が緩む。
「あの…？」
「え？あっ！ごめんなさい！嬉しくてつい！」
ヤバい！僕今絶対変な顔になってる！
両手を頬に当てて表情筋を整えていると、「ふふ」と女の子が小さく笑う。
「うふふ…すみません。とても面白い人だなぁって」
なっ…！！
一体何だ彼女の笑顔は！？
まるでマイナスイオンそのもの！！浴びた者を否応なく癒してしまう心地良さ！！
まさかこれが、彼女の“個性”なのか…？
「マイナスイオンを発出する“個性”ということは回復系か…？移動系に続いて珍しい“個性”ではあるけど、あくまで精神的な回復になりそうだ。精神的ストレスを癒しによって回復させるのか。ストレスの多い現代社会に無くてはならない“個性”だよコレは…」
「…？あ、あの…？」
「ハッ！！すみません！！何でもないです！！」
しまった！ついいつもの癖でブツブツしてしまった！あまりに凄い“個性”だからつい…
「それで！何か御用ですか！？」
「あ、それなんですけど…“きょーしつ”ってどこにあるんですか？1−Aなんですけど…」
「え」
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作者名：ミサ | 作成日時：2018年9月1日 12時
