【ヒロアカ】おひさまになるために (ページ2)

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雄英高校ヒーロー科入試、実技試験。毎年多くの受験生が集う、最初のふるい。それに掛けられた受験生達のほんの一握りが、最高峰と言われるここ、雄英高校に入学できるのだ。

まさに宝塚のそれ。だが宝塚とはまた規模が違いすぎる。今年も多くの若者達が、夢を掴むため懸命に戦っていた。

初めて彼女(・・)を見た時、同じグループにいた彼らは皆「大したことない」と思った。何故ならその少女は見るからに緊張していて、身体中が震えていたからだ。いくら緊張しているとはいえこれは実技試験だ。多少のほぐれが無ければ動くことすらままならない。

司会のプレゼント・マイクによるスタートの合図が聞こえた瞬間ーー受験生達は一斉に駆け出す。

夢が破れるのは早かった。

敵を倒そうとしても、地面から太い蔦が何本も伸び、仮想敵(ヴィラン)を縛り上げる。手を出す間も無く、あっという間の出来事だった。
試験において1点のポイントも加算されない仮想敵(ヴィラン)さえも、動く隙を与えず捕まえていた。

それを成したのは、たった一人の少女だった。

開始前、緊張で震えていたあの少女。

誰一人傷つけず、誰一人ポイントを奪わせなかった彼女は、開始前とは別人のような圧倒的な強さを持っていた。

やがて終了の合図が鳴ると、少女は糸の切れたマリオネットのように地面に伏した。
“個性”の反動か、血を吐き苦しそうに咳込む彼女は、養護教諭のリカバリーガールの応急処置を受けた後、すぐに保健室へと運ばれていった。

このグループで、ポイントを得たのは彼女のみ。
よって、彼女のみが試験を突破し合格を勝ち取った。
当の本人は知らないが、この試験により彼女は入試トップの座を手にすることになる。

彼女の名前は於野A。

これは「おひさま」のようなヒーローを目指す、彼女の物語である。