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「俺はこの我々だマフィアの首領、グルッペン・フューラーだ。君のことはゾムから報告を受けている。君の情報のおかげで、我々は多大な被害を受けず敵の目論みを阻止することが出来た。そのことについて改めてお礼を言いたい。助かった、ありがとう」
いえ、私は別に。思わず口に出してしまいそうになった言葉をAは喉で押し留め、そのまま胸の内に仕舞ってから軽く頭を下げた。
少し複雑な気持ちだ。自分はただゾムの役に立ちたいと思っただけで行動したことだから、組織の為ではないので素直にその言葉を受け取れなかった。
「協力してくれた礼として、君が望むものを提供したいと思っているのだが、何か欲しいものはないかね？ 出来る限り要望に応えよう」
「……いえ、あの、助けて頂いただけでも充分なのに、その上私の我儘で使用人として雇って頂いたので」
これ以上、何も望みません。
緊張と気後れする中、Aは必死に絞り出した声で、しかしはっきりと意思を伝えた。本当に今居るこの環境が、彼がすぐ側に居るこの居場所が自分の望んでいたそのものなのだから。
目を合わせないことは非常に失礼なのは理解しているが、どうにもあの強い光を放つ真紅の瞳を見つめることが出来ず、彼女は伏し目がちになる。そんな彼女の真意を汲み取ろうとするグルッペンは彼女を凝視する。一方友人の隠し切れない圧力にすっかり萎縮してしまった少女に、静かに見守っていたトントンは胸の内で溜め息を吐いた。
そうか。少し間を置いて、口を開いたグルッペンは再びその背を椅子に預けた。
「分かった。なら、君の身の安全は我々が保証しよう。君は我々の恩人だからな。改めて——ようこそ我が城へ！ A、私は君を歓迎しよう」
絶対的な余裕を含む不敵な笑みを浮かべながら、少女を受け止めようとするようにその両手を広げる。
そこでAはようやく目の前の男を見ることが出来た。心なしかその視線が柔らかになったような気がして、改めて二つの紅玉の奥にあるものを見つめる。そこにある真意までは読み取れないが、放たれる輝きは確かに嘘偽りではないと直感する。この人を信用してみたい、そう思った。
ありがとうございます、と少しだけ緊張感が解れたAは深々と頭を下げる。それに答えるようにグルッペンがふっと笑う息を漏らした。終始その光景を黙して見守っていたゾムとトントンの表情にもようやく笑みが戻ってくる。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 。さん» 。さん、こちらの作品を読んで下さり誠にありがとうございます！続編はあります。リンクが連携されていない理由と検索方法はコメント欄にあります(このすぐ下です)お手数をお掛けして申し訳ございませんが宜しくお願い致します。 (3月29日 20時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 作品が好きで見させてもらっています。作品一覧に3が無いのですが、削除されてしまっていますか？ (3月29日 4時) (レス) id: fadf2e6ab2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - から入って探して頂ければと思います。申し訳ございません。ですがR18作品なので勿論18才未満の方の閲覧はご遠慮しております。もしそうでなければ、どうぞ続きをお楽しみ下さい！ (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 青さん» 青さん、ご感想ありがとうございます✨こちらの続編ですがR18作品になっておりまして、占ツクの仕様上、健全物とR18はリンクを紐付けることが出来ないようになってまして…。なので続編はお手数ですが私の名前をクリックか、↑の「この作者の作品を全表示」と言う所 (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
青 - とても好きです。2の続編が見つけられず…どこから観れるか教えていただけませんか？ (12月2日 15時) (レス) id: 437b233046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年9月16日 15時
