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「連れてきたでー」
本当に友達のような感覚で、その部屋主に間延びした声を掛ける。来訪してきた彼に四つの視線が注がれる。
仕事机に腰掛けている部屋主以外にも人の影があることを予想していなかったゾムは僅かに驚いたような様子を見せた。
「あれ、トントンもおるやん」
「おう、これからグルさんと話をしようかと思ってたんやけど、お前も用事か？」
手元に何枚か纏めた書類を持ちながら、机の側に立っている彼も意外な来訪に驚いているようだった。ただ一人、この状況を待ち望んでいた金髪の男だけはその口元を妖しく歪め、右手に持っていた万年筆をことり、と机に置いた。
「トントン、話は少し待っててくれ」
いつもと変わらないその低い声に、少しだけ弾みが含まれていたことをトントンが聞き逃す訳がなかった。ゾムから視線を隣にいる男に移した瞬間、全てを悟った彼は一つ溜息を零した後、少しだけ身を引いた。
場のセッティングが完了したのを見届けると、ゾムは後ろで待機している彼女へ振り返る。目を合わせ入れ、と首の振りでそう促せば、Aは緊張で少し固くなった表情のまま背筋を伸ばした。そして意を決して一歩を踏み出し、失礼します、と小さな声で紡いだ後、彼によって開け放たれた扉の隙間から部屋の中へと入る。
瞬間、正面に金色が煌めいた。
その輝きに目を奪われていると、その下から紅玉が覗かれていることに気付く。視線を少し下にずらせば、そこから放たれる刺すような圧力を感じると、ようやくそれが瞳だと理解した。
まさに蛇に睨まれた蛙の如く、足を踏み留めてしまったAは内心冷や汗を掻く。前に進むことを躊躇っていると、扉を閉めたゾムが固まっている彼女の背中に手を添える。大丈夫やから、と声を掛けて背中を軽く押すと、Aは一度彼を見上げ、側に彼が居ることに少しだけ安心するとようやく足が動いた。
一歩一歩と彼に近付いていく中、ふと視界の端でもう一つの影があることに今更ながら気が付く。ちらりと横目で覗いてみると、頭の片隅でぼんやりと記憶していたその顔に思わず目を見開いた。あの時、ゾムと一緒に居た人だ。
「君がAか？」
静かに、だが確かに強さを秘めたその声にAは一瞬怯んだ後、はい、と頷く。
彼女の返答を受け取った男は口元に微かに浮かべていた笑みを深くして、凭れていた背中を起こした。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 。さん» 。さん、こちらの作品を読んで下さり誠にありがとうございます！続編はあります。リンクが連携されていない理由と検索方法はコメント欄にあります(このすぐ下です)お手数をお掛けして申し訳ございませんが宜しくお願い致します。 (3月29日 20時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 作品が好きで見させてもらっています。作品一覧に3が無いのですが、削除されてしまっていますか？ (3月29日 4時) (レス) id: fadf2e6ab2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - から入って探して頂ければと思います。申し訳ございません。ですがR18作品なので勿論18才未満の方の閲覧はご遠慮しております。もしそうでなければ、どうぞ続きをお楽しみ下さい！ (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 青さん» 青さん、ご感想ありがとうございます✨こちらの続編ですがR18作品になっておりまして、占ツクの仕様上、健全物とR18はリンクを紐付けることが出来ないようになってまして…。なので続編はお手数ですが私の名前をクリックか、↑の「この作者の作品を全表示」と言う所 (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
青 - とても好きです。2の続編が見つけられず…どこから観れるか教えていただけませんか？ (12月2日 15時) (レス) id: 437b233046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年9月16日 15時
