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「Aさん、これからよろしゅうな」
その言葉に差し出された右手の意味を悟ったAは一度彼の顔を見て、再び視線をその手に落とした後、おずおずと自分の右手でそれを掴み取った。自分のより小さく細いその手を握り締めたロボロはその口角を柔らかく上げた。
互いの温もりを確かに受け取ったその二つの手が静かに離れていく。
そして満足げな表情になったロボロは今度こそ扉の方へと足を進めた。その道中でゾムとすれ違うとじゃあな、と軽く別れを告げる。それにゾムも短く言葉を返し、扉の向こうにその背中が見えなくなるまで見送った。
訪問者達がいなくなり、一気に部屋の中が静寂に包まれる。先程まで彼らの声で満ちていた空間が幻だったかと思うくらいに。
そんな中、はあ、とゾムの溜め息がよく響いた。まるで厄介者を追い払えたと言わんばかりの疲労と安堵が混在するそれを聞いたAは思い出したかのような表情をすると「お帰りなさい」と彼に声を掛けた。
ゾムはそれにまたも短く返事をすると彼女に向き直った。
「あいつらに変なことされへんかったか？」
「え？ ううん、別に。普通に楽しかった」
「……そ。なら、ええんやけど」
今度からは鍵閉めとくかあ、と彼は呟く。
今回のような不法侵入をまたされたら堪ったものではない。まあ恐らく彼女目当ての犯行だったから次は無いとは思うが。
一抹の不安を抱えつつ、今後の対策について考えながらゾムは武装を解く為に寝室へと姿を消した。
それを見届けたAは一つ深呼吸をした後、ソファーの周りを見渡した。もぬけの殻になった椅子を見つめて、先程の彼らの姿を脳裏に思い浮かべる。そして彼らが触れてくれた両手と頭の温もりを思い出すと胸の内に温かくなる感じが広がっていく。
自分が恩人だと知ったからかもしれないが、それでも彼らから与えられる優しさはあまりにも大きいのではないだろうか。これが彼らにとって普通なのか、Aは未だに混乱していた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 。さん» 。さん、こちらの作品を読んで下さり誠にありがとうございます！続編はあります。リンクが連携されていない理由と検索方法はコメント欄にあります(このすぐ下です)お手数をお掛けして申し訳ございませんが宜しくお願い致します。 (3月29日 20時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 作品が好きで見させてもらっています。作品一覧に3が無いのですが、削除されてしまっていますか？ (3月29日 4時) (レス) id: fadf2e6ab2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - から入って探して頂ければと思います。申し訳ございません。ですがR18作品なので勿論18才未満の方の閲覧はご遠慮しております。もしそうでなければ、どうぞ続きをお楽しみ下さい！ (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 青さん» 青さん、ご感想ありがとうございます✨こちらの続編ですがR18作品になっておりまして、占ツクの仕様上、健全物とR18はリンクを紐付けることが出来ないようになってまして…。なので続編はお手数ですが私の名前をクリックか、↑の「この作者の作品を全表示」と言う所 (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
青 - とても好きです。2の続編が見つけられず…どこから観れるか教えていただけませんか？ (12月2日 15時) (レス) id: 437b233046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年9月16日 15時
