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○お疲れ様です、とこの一週間で覚えた仕事仲間や上司に対しての挨拶を口にして、Aは軽く会釈をする。屋敷の執事長的存在である彼——エーミールは革の靴底で廊下にコツコツと音を立てながら、彼女との距離を縮めた。
「調子の方は大丈夫ですか？」
「あ、はい。もう筋肉痛は治りました」
Aの返事に安堵した彼は良かったです、と笑みを深めた。目の前で純粋に、穏やかに笑う男にAは未だに慣れない、と言うか彼が身を置いている肩書きと彼の性格があまりに不一致すぎて、いつも変な違和感を覚えるのだ。
普段はまさに紳士的と言わんばかりの綺麗な身なりと所作を見せ、その上博識と来たものだからどこぞの貴族かと、本当にマフィアの一員なのかと疑ったぐらいだ。今まで下卑た笑いで汚い言葉を吐く粗暴な男達しか見たことがなかったAにとって、彼はまるで天上人のような輝きを放っているように見えた。
こんな優しい人間に会うのは孤児院の先生振りなので、その態度にくすぐったさを覚え、変に緊張してしまうのは仕方がないのだ。
「何か仕事で分からないこととかありますか？」
「え……あ、いえ、今の所はない、です」
「そうですか。何か不都合がありましたら、いつでも言ってくださいね」
私は貴方の味方ですから。そんな風に優しく声を掛けるエーミールはにこ、と笑う。
本来なら素直に嬉しいと喜ぶべきなのだろうけれど——勿論、嬉しいは嬉しい——彼の態度に慣れていないAは少しだけ萎縮してしまい、口に出た感謝の言葉も異様にぎこちないものになってしまった。
いや、良い人なのは分かっている。この短い間で交わした会話の中にそのお人好しな性格が滲み出ていたし、ゾムの紹介だからか、新人への対応にしてはやたらと気に掛けてくれているような気もする。
決して疑っている訳ではない。ただ、真摯に向けてくれるその眼差しを、与えてくれる言葉を素直に受け取れないのだ。特に、優しい人ほど。
人を簡単に信じられたあの頃にはもう戻れないのだ。申し訳なく思ったAは心の中で彼に向けて謝罪した。
「お、ここにおったんか」
芽生えた罪悪感に胸を痛めていると、エーミールが現れた方向からまた声が聞こえてくる。今や耳に馴染んだそれが鼓膜を震わせた瞬間、彼女の心臓が軽く跳ねた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 。さん» 。さん、こちらの作品を読んで下さり誠にありがとうございます！続編はあります。リンクが連携されていない理由と検索方法はコメント欄にあります(このすぐ下です)お手数をお掛けして申し訳ございませんが宜しくお願い致します。 (3月29日 20時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
。 - 作品が好きで見させてもらっています。作品一覧に3が無いのですが、削除されてしまっていますか？ (3月29日 4時) (レス) id: fadf2e6ab2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - から入って探して頂ければと思います。申し訳ございません。ですがR18作品なので勿論18才未満の方の閲覧はご遠慮しております。もしそうでなければ、どうぞ続きをお楽しみ下さい！ (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 青さん» 青さん、ご感想ありがとうございます✨こちらの続編ですがR18作品になっておりまして、占ツクの仕様上、健全物とR18はリンクを紐付けることが出来ないようになってまして…。なので続編はお手数ですが私の名前をクリックか、↑の「この作者の作品を全表示」と言う所 (12月2日 18時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
青 - とても好きです。2の続編が見つけられず…どこから観れるか教えていただけませんか？ (12月2日 15時) (レス) id: 437b233046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年9月16日 15時
