所謂、貴族と言うやつ ページ7
○A・エーラット。十七歳。
エーラット家の現当主である祖父ダルヴィの長男イアンと、その妻ベラーナの間に生まれた娘。上には兄アスティウスと姉ジャネットがいる。
エーラット家は代々このローアル国を支えてきた貴族の一つで、その名を知らぬ国民はいないほどだ。様々な事業で成功を収め、名声、権力、富を手にし、その地位を磐石なものにしていった。
言わずと知れた裕福な家庭に生まれたエーラット嬢。赤毛は父親譲り、青い瞳は母親譲り。端正な顔立ちの両親からその遺伝を受け継ぐ少女はその愛らしさから大層ちやほやされてきた。大切に育てられ、甘やかされ。彼女が望むものは周りにいる人達のおかげで何でも手に入った。
皆から愛される存在。彼女もまた、そうなるべくして生まれたんだと思っていたほどに。だがその環境故なのか、彼女の人格は良くない方向へと形成してしまった。
名家に生まれたからこその高い矜持と優越感。自己陶酔に自意識過剰。
他者には有り自分には無いものを妬み嫉み、自分の容姿と権力、金があれば手に入れられないものはないと思い込んでいる傲慢さを持つ。故に自分の思い通りにならないと機嫌を損ね、最悪憤慨するなど年齢に相応しくない幼稚な部分が見受けられる。必要とあらば他者の力を用い強引な手段も行使する。自分よりも誰かが愛されていることが許せない。慎ましやかのつの字もない、典型的な我儘娘だ。
それを思い出した時の私ときたら──そりゃあまあ、酷く頭を抱えたわ。嘘だと言ってよ神様、と嘆かずにはいられなかった。私とは全く正反対の性格。私の、嫌いなタイプ。
まずそれが第一の壁となって私の前に立ちはだかった。まさかこの我儘娘の歩んできた道と人格を私が継がなければならないのかと。いや無理。彼女の過去の行いを正すことは出来なくとも、彼女の性格や振る舞いを真似することなど私にはどだい無理な話だ。と言うか受け付けない。そんなストレスフルな暮らしなんかやっていけるか。
そんな訳で、即諦めた私は私を貫き通すことにした。そうすると、まず私の異変に気付いた家族と使用人達が酷く驚いた。
エーラット嬢は両親と対面すれば満面の笑みを浮かべ「お父様！ お母様！」とまるでペットの犬猫のように駆け寄っていく。それを両親は「あはは、可愛いな」みたいに笑って頭を撫でてくれる。それが普段のコミュニケーションである。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
