それは存在しているのか ページ47
○この学園の敷地は広い。とにかく広い。その中には校舎以外にも、寮だとか運動場など色んな施設が建てられている。
あまりにも広いから、おそらく学園の隅々まで把握している者は誰一人としていないんじゃなかろうか。きっと学園長を長く勤めている私のお祖父様ですら。だから誰にも知られていない、穴場的な場所があってもそうおかしくはない。また、知っている者の数が限られている所も。
──学園の何処かに猫の集会場があるらしい。
その噂を耳にしたのは随分前。エーラット嬢がまだ私ではない時だ。お嬢様方が集まったお茶会でされた、他愛もない会話の中で聞いたような気がする。その時のエーラット嬢は特にその話に興味を惹かれず軽く聞き流していたので、その記憶は今まで頭の奥底にしまわれていた。
しかし何故今それを唐突に思い出したかと言うと。偶然にも、私がその場所を見つけたからである。全く人が近寄らなさそうな敷地内の隅っこ。木と茂みに囲まれている其処は外側からではほとんど見えない。そりゃあ見つからない訳だ。まさしく知る人ぞ知る秘密の場所に相応しい。
其処にはまさに、猫好きには堪らない空間が広がっていた。一歩踏み入れれば何十匹もの猫達が皆思い思いに寛いでいる姿でお出迎えしてくれる。しかも野良猫のはずなのに人間がやってきても警戒したり逃げたりすることなく、寧ろ近寄ってきてくれるのだ。足にその体を擦り付けてきたり、こちらを見上げて鳴く姿ときたら。愛くるしいことこの上ない！
懐いているその様子からして、おそらく此処に訪れる人間に良くしてもらっているんだろう。そしてこの子達を世話をしている人がいることも確実。何故なら、餌皿と水入れが幾つも置かれているからだ。
その正体は生徒なのか、それとも先生なのか。まだ数回しか来てないけど、今まで誰とも此処で会ったことはないから分からない。まあ私にとっては好都合なんだけどね。おかげでのびのびと猫達と遊べているんだから。別に猫達を独占したいとかそういう訳じゃなく、誰かとばったり出会ったら周りの空気が悪くなるだけだもの。
出来ることなら私が来ている時は誰も来て欲しくないな、なんて。
「……ふふ、可愛い」
そんな密かな願いを抱きながら。今日もまた私は癒しを求めてこの場所にやってきた。いつものようにゴロゴロと寛いでいる子達に近寄って、その柔らかな毛並みを撫でさせてもらう。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
