そんな間柄じゃない ページ45
○それが終わるまで待つしかない私はカウンター上にあるチラシ類を見たり周囲を見回したり、彼の手元に見てみたりなど視線を忙しなくさせる。何だか、いつもより長く感じる。それは相手が彼だから、だろうか。いつもならこの時間全然苦ではないのに、今は早く終わって欲しいと願うくらい私は急いていた。
「Aさんはどの国の歴史とか、特にこの時代が好きだとかありますか？」
「えっ……？」
すると彼から突然そんな質問を投げられた。思い掛けないそれに驚きを隠せなかった。
次いで、何でそんなことを訊きたいんだろうと疑問が浮かぶ。場繋ぎ的なもの？ それとも暇な私を気遣って？ まあ、可能性的には前者かな。いやそれを訊くくらいなら、ちゃっちゃと作業を終わらせてくれた方が私としては助かるんだが。
「い、いえ……歴史の本を読み始めたのは最近なので、特にこれと言うものはないですけど……。強いて言うなら、今はこの国の歴史に興味を持っています」
「そうなんですね！ いいですよローアル史。私は好きです。やはりこの大陸随一の大国ですからね。そうなるまでには目覚ましい文化の発展や幾度となく改革された政治、そして他国との熾烈な争いがあったからこそであって……」
そうして彼は嬉しそうに笑いながらこの国について語り出した。澱みなく次々と言葉を羅列していく彼に圧倒されながら私はへえ、と適当に相槌を打つ。
──何なんだろう、本当に。
知識量が凄いとか饒舌になるほどこの話題が好きなんだとか、そう思う前に。何故彼が私にそんな話をし出したのか。何故、さも親しい間柄の人間を相手にしているかのように話してくるんだろうか。彼の意図が全く分からなくて、私はただひたすらに眉間に皺を寄せる。
そう言えば、以前からこの人は他のメンバーに比べて私に対してそこまで嫌いと言う感情を見せなかった。どちらかと言えば至極苦手だと言わんばかりに、いつも眉尻を垂れ下げて困り果てていた印象が強く残っている。
だけど今はその影もなく。私を前にしてもおどおどせず酷く穏やかな表情をしている、と感じる。何で。別にあれから彼と話したことも、何なら会ったことすらないのに。これではまるで、私への印象が良くなっているように見えるではないか。
おかしい。これは予想外の展開。私は別にそんなものを望んでいないのに。彼と仲良くなるつもりなんてこれっぽっちもないのに。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
