何ですか⁉︎ ページ35
○それに彼はどんな理由であれ私に声なんて掛けられたくないだろう。彼が私を一等嫌っていることは知っている。なんせ彼が私と会話している記憶なんてほとんど無いし、視界に入らないようずっとそっぽを向いていたのが強く印象に残っているからだ。
覚えていると言えば、彼から「うっさい」「近付くな」と酷く冷たい声で突き放されたことくらい。相手にすらされなかった。そんな彼に声を掛ける勇気なんて、出る訳がない。
まあどうせあっちだって、もし話し掛けたとしてもいつも通り私をスルーするに決まっている。だからこれが正しいんだ。気にしないで、私は自分のことに集中すればいい。
──と思っているんだけど。
「……」
「……」
何かめっちゃ視線を感じるんですけど⁉︎
じーっと私に突き刺さってくるそれ。此処にいるのは私と彼だけ。と言うことは、この視線の主はただ一人。
どうやら彼は私がエーラット嬢だと気付いたみたい。けれど何故。何で今になってこんなに見てくるのよ。あれだけ避けていたのに。
ああ、私が本当にエーラット嬢か確かめているとか？ 気持ちは分かるけどそんなに見つめられると、気が散って食べ辛いんですけど。何も言わないから尚更居心地が悪いし、あと単純に怖い。まだ何か罵声を吐いてくれた方が、彼が何を思って私を見ているのか分かるんだけど。
ええ、私何かした？ いや、別にあれから彼の気分を害するようなことはしていないはず。接触すらもしていない。睨まれる理由は……無いとは言えないが、一応私の心当たりにはない。何か言いたいことがあれば言えばいいのに。ああでも彼も私と一緒で関わりたくないって思っているはずだから、ただ黙って睨み付けるしかないのか。いや待て、それなら別に私を見ないでそのまま帰ればよくない？ うん、やっぱり分からない。
彼の不可解な行動に脳が混乱してもう食事どころではなくなってしまった私。気まずく感じる空気の中、うーん、と眉間に深く皺を寄せていると隣の気配が不意に動いたことに気付いた。
「──！」聞こえ始めた足音。それがこの場を離れ、どんどん遠ざかっていく。そして今度は扉の開閉音が聞こえ、静寂が訪れる。
帰った──？ 私はおそるおそる顔を上げ周りを確認する。……うん、いない。そこでようやく緊張が解け一つ大きく息を吐いた。
「……何だったの？」
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
