今日も変わらない ページ34
「あれ、確かこっちに来たような気がするんだけど……」
「ゾム様は？」
「うーん、ぱっと見た感じではいないですわね」
ああなるほど。私は瞬時に理解した。
どうやら彼はあの子達に追われていたんだろう。それであろうことか、行き止まりである此処に辿り着き身を隠した、と言う所か。はあ、と私は心の中で溜め息を吐く。まさかその現場を目の当たりにするなんて、今日はツイてないな。
彼が逃げるほどと言うことは結構しつこく絡まれたのか。それとも彼自身がそういうのを好まないだけなのか。まあどっちにしろ、私には関係ない。
私が言えた義理ではないけれど、追い掛けるのもほどほどにしろよ。なんて思いながら彼女達を白い目で見ていると、不意に一人が私の存在に気が付いた。途端、その顔が青ざめる。
「え、ちょっと待って……」
「ん、何？ ゾム様を見つけた？」
「いや、あれ、あの人って……エーラット様じゃ……？」
「え……？ あ、そうよ！ エーラット様よ！」
「ええっ、何で此処に⁉︎ てか何かこっち見てない⁉︎」
「まさかゾム様を追い掛けてるのバレたんじゃ……っ」
「ちょっとマズいって……っ」
「い、行きましょ……！」
私を視認した彼女達は皆一様に怯えた表情を浮かべると、ゾム様の捜索をやめて逃げるように帰っていった。バタンと扉が閉まれば屋上に静けさが戻ってくる。私は脳裏にこびり付いた彼女達の顔に、僅かに眉根を寄せながら溜め息を吐いた。
おそらく私に目を付けられるのを嫌がったんだろう。すぐに帰ってくれたのはありがたい、けど。
別にもう何もしないし、するつもりもないからそう怖がる必要はないのにな。けれど一度定着した悪評を消すことはそう容易ではなく。彼女達から私への恐怖を取り除くにはおそらく、まだまだ時間が掛かるだろう。
私が大人しくしていれば、まあいずれは。と思うけれどこれから関わるなんてきっとないんだから、そもそも気にする必要はない。彼女達が私をどう思っていようが関係ないんだ。
また一口、二口。昼食を再開したその時、ガサリと茂みが揺れる。ああそう言えば。私は彼の存在を思い出したが、気にせず昼食を続ける。
本当なら、知り合いなんだから声を掛けて挨拶くらいした方がいいんだろうけど、それは出来ない。彼を無視するようなことになるけど許して欲しい。一切関わらないと誓ったんだから、それを破る訳にはいかない。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
