大人しくなったはいいものの ページ29
○二人の会話にメンバー達は互いに顔を見合わせたり口を開けて固まったり、なかなかそれを受け入れられずにいるようだった。
しかし実際に彼女と会った二人の証言ならば、それが真実であると認めざるを得ないことを皆心の何処かでは理解していた。「よ、予想外やな……」とロボロがついそう零した。
「ああ、全くだ。彼女については俺も半信半疑だったが直接会って確信した。噂通り、彼女は変わった。しかしあれは……何と言うか、改心したと言うレベルではない。もはや別人のレベルだった。彼女はもう、我々が知っているエーラット嬢ではない」
態度も言葉遣いも佇まいも、何もかも違った。あれほど幼稚だと思っていた我儘娘はどこへやら。蛹から孵った蝶の如く、急に大人びてしまった。ガラッと変わった見た目もそう感じた原因の一つになるだろう。
そして何よりも、グルッペンがそう強く感じたのは彼女の瞳だ。欲求、怒り、憎しみ、悲しみ。彼女のあらゆる激情が籠った瞳を今まで飽きるほど何度も目にしてきた。
しかし彼が昨日見たそれは初めてのものだった。まるで水底のような仄暗さと冷たさ。あんな目も出来るのか。初めて見た彼女の一面に驚きはしたが、彼は同時に彼女のことが妙に気になって仕方がなかった。
自分達に気に入られようとあれほど躍起になっていた彼女。どれだけ周りから疎まれようが蔑まれようが決して折れない心を持っていて、どうしたら諦めてくれるのかと日々悩み苦心してきたと言うのに。
その彼女が突然、自ら諦めたのだ。あっさりと。そしてあの時に見た彼女の瞳からは自分達への興味が完全に失せていたように感じられた。いや寧ろ、どこか嫌悪のような感情すら含まれていた気がする。それがどうにも違和感でしかなかった。
だからグルッペンは彼女の変貌を素直に喜べず、未だ疑問を抱えたままでいるのだ。
──本当に彼女はあの時、風邪で休んだのだろうか。
もしかしたら、真実は違うのでは。あの時に何か、彼女の根本的なものを変化させる出来事が起こったのではないだろうか。そうでなければこの現状を納得することが出来ない。
「まあ、Aちゃんが変わったことは確かだって分かったけど……どうする？」
「いやどうするも何も、本人がそう望んでるんやろ？ せやったら俺らにとって好都合やん」
難しそうな顔で腕を組む鬱に、隣に座るコネシマがそう返した。その言葉に大半の者はうんうんと頷いている。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
