私の望み ページ26
「そうでしたか。ご覧の通り元気にしておりますのでご心配には及びません」
寧ろ来なくなって清々していたことでしょう。と心の中で毒づく。
なるほど、私を呼び出した理由はこれか。彼はどうやら私の変化をその目で確かめたかったようだ。昨日のことについてのお咎めではないらしいことに、私は密かに安堵すると同時に、ほんの少し飽き飽きとした気分になった。
「そうか。それなら良かった」
「皆様もお元気ですか？」
「……ああ。寧ろ元気が有り余り過ぎてうるさいくらいだ」
「ふふ、相変わらずですね」
なんて事ない世間話。聞こえる内容からすればとても和やかなものだと思うだろうけど、流れる空気は冷たかった。相手の様子を窺う。まるで腹の探り合いのような雰囲気で、とても穏やかな気持ちにはなれない。
早くこちらの話を切り出して此処から出たい。そんな思いが胸の内に膨らんでいく。
「本当に君は……エーラット嬢なのか？」
ああ、それがきっと彼の本音なんだろう。私はそう直感した。とうとう彼は疑いの目を隠さなくなったようだ。
「はい。正真正銘、A・エーラットでございます」
そう言って得意の愛想笑いを浮かべる。
彼は鋭い眼差しでじっとこちらを見つめるばかり。
「一体君の身に何が起こったんだ？」
「……」
彼は、私が偽物なのかと疑っているんだろう。まあ無理はない。けど。
──そんなこと、私が訊きたいくらいだ。
何が切っ掛けでどうしてこうなったのか。思い出そうとしても、まるで脳がそれを拒否するかのように真っ暗なビジョンしか浮かび上がらず。気付いたら見知らぬ少女になっていたなんて。あの時受けた衝撃を貴方は知る由もないでしょう。
そしてこの事象自体、誰も理解出来る訳がない。話したくても、話せない。この苦しみを誰が分かってくれると言うんだ。
私は思わず結んだ両手にぎゅっと力を込める。
「いえ特に……ただ、これまでの自分の行いを考えさせられることがありまして」
いや、そんなことよりも今は優先すべきことを考えなければ。言うなら今だ──。
私は気持ちを切り替え静かに彼を見据える。その時に初めて、彼の目をちゃんと見た気がした。
「グルッペン様、折り入ってお願いがございます」
「……何だ？」
「私を──生徒会から外して頂けませんでしょうか？」
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
