真実は如何に ページ17
○ぱちくりと、フィオナが目を瞬かせる。
「とは言うても俺もまだ半信半疑やけど……。でも確かに言えるのは、あいつの見た目が変わったってことや！ 遠目やったけど、俺一回あいつのこと見てん。そしたら……もう俺達が知ってるあいつやなくなってたんよ」
「え、そんなに？」
「おん。この俺でも、最初あいつやと気付かんくらいにな」
そりゃあもう驚いたわ。そう言いながら鬱はシャオロンの手札を睨み、どれを選ぶか悩みに悩んでから「これや！」と勢い良く一枚引く。しかし生憎数字を揃えられなかったようで、分かりやすく顔をしゅんとさせてから渋々それを自分の手札に加えた。
彼らから少し離れた席でその会話を聞いていたコネシマが「お前ら知ってたか？」と傍にいる後輩二人組に訊く。「まあ噂だけは……」とショッピが言うと、チーノも首を縦に振った。
「……」
答えを得てもシャオロンの表情が晴れることはなかった。まだ胸の内がすっきりとしない様子だ。
鬱を疑う訳ではない。彼の卓越したコミュニケーション力を活かした情報収集能力は非常に高く、学園内に広がる話題や噂話、ゴシックまでもほぼ網羅していると言っても過言ではない。それにこの空気の中で彼が嘘を吐くとは到底思えない。
だから彼の言葉は本当なのだ。そう頭では理解しているつもりなのに、シャオロンは未だ自分の心がそれを受け入れられずにいることを感じ取った。あの自己中の女がか？ 彼はこちらに向かって笑うジョーカーを見つめながら黙り込む。
だが、確信を得る出来事は既に身を以て知っている。いつものようにメンバーとくだらない話をして時に喧嘩して、そしてフィオナの笑顔に癒される学校生活。何不自由なく親友達と笑い合える今がこの上なく楽しい。──はずなのに。
そんな日々に水を差すかのように、あの女は何処からともなく姿を現す。匂いのキツい香水を振り撒きながら近寄って、気に入られようと媚びを売ってくる。自分の見た目に自信満々なあの笑った顔が、あの甲高い声がとてつもなく不愉快だった。どんなに振り払ってもひっついてきて、どんな性根してるんだと彼女の人格を疑ったことは数知れず。
その一点だけを除けば理想の日常を送れるのに。彼女さえ消えてくれれば。何度そう願い、そしてうちひしがれたことか。
しかし、その願いは突如として叶った。思いもよらぬタイミングで。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
