平和すぎ？ ページ16
「なあ、最近平和すぎじゃね？」
自分の手元にあるトランプを見つめながら、ふと思ったことをシャオロンが口にした。すると今まで和やかな雰囲気が流れていた生徒会室の空気が、一瞬にして固まった。彼と共にババ抜きを楽しんでいた者も、少し離れた場所で談笑していた者も、その顔から笑みを消す。そして書類を片付けていた者はそのペンを止めた。
沈黙。その後に続く言葉を探しているのか、それともその話題を続けても良いのかと逡巡しているのか。誰もが周りの空気を読み合っていた。
「そ、そうやな……。ま、ええんちゃうか？」
平和が一番。なんてシャオロンに向かって笑いながらそう言う鬱だが、その表情は何故か固かった。
ロボロの手札に手を伸ばしていたゾムはその隙に静かにその中から一枚引く。するとそれがどうやら彼の最後の手札と同じ数字だったようで「おっしゃあがりッ‼︎」彼はぱっと笑顔を咲き誇らせた。彼の勝利に驚いた鬱、ロボロ、フィオナが声を上げて悔しがる。
そのままゲームを再開しようと、続いてロボロが隣の鬱の手札に手を伸ばす。だが、シャオロンがそれを許さなかった。
「なあ、あの噂ってホントなんか？」
「……う、噂って？」
「皆も知ってるやろ。ほらあいつの……あの女のことや」
次の瞬間、室内の空気がどんよりと重くなる。折角元に戻ろうとしていたのに、彼の言葉で台無しになった。
皆の表情もあからさまに暗くなり、その話を聞きたそうには到底見えなかった。切り出した本人も本当は話題になんか出したくなかったと言わんばかりに顔を顰めつつも、その真偽を確かめたい気持ちが勝った為仕方なく話を続ける。
「あいつが、まるで別人のようになったって聞いたんやけど。それマジなん？」
信じられない。琥珀の瞳がそう強く訴えていた。そんな彼を見て、答えを得るまでこのまま引き下がるつもりがないと感じ取った鬱は、はあ、と諦めの溜め息を吐いた。
「……どうやら、ホンマみたいやで。あいつと同じクラスの子に聞いたんやけど、体調不良で一週間休んで復帰したら、まるで別人みたいに大人しくなってもうたって話や」
「え、それホンマやったんか」
彼の手札から一枚引いたロボロが驚き、ついそう零した。鬱は、おん、と頷く。
「いつもなら取り巻きに囲まれてふんぞり返りながら学園を闊歩してたけど、今はほとんど一人で行動して、何も問題起こしてないみたいやで」
「そうなんだ……」
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
