そこに本物はあるか ページ12
○A・エーラット。十七歳。
この学園の皆から嫌われています。
「まあ！ 本当にA様なのですか？」
「まるで別人のようですわ……」
「前の髪型も素敵でしたけど、今の髪型もとても素敵ですわね！」
「ええ！ A様なら何でも似合いますわ」
「それより、お元気になられて本当に良かったですわ！」
「お体はもう大丈夫なのですか？」
「ええと……だ、大丈夫よ。心配掛けてごめんね」
そして此処でも。これはもはや避けられぬ道。
自分の教室に入るや否や、先に登校していた同級生達から「あれは誰？」と不審がられた。しかし私だと分かると皆一様にびっくりして教室内が騒めき出した。次いで以前よりエーラット嬢と交流のある女子達がわらわらと私の周りに集まってきた。
皆口々に心配していたと私を案じる様子を見せてくる。私は努めて笑みを作り適当にあしらうような、ありきたりで当たり障りのない言葉を返していく。それが酷く疲れる。どうせ心にも思ってないくせに。
先に言ったように、エーラット嬢はこの学園の嫌われ者だ。その理由は家名と学園長の孫と言うことでやりたい放題しているからだ。我が物顔で学園内を闊歩し、他人への思いやりなんて無く自分の我を貫き通す。権力で生徒だけでなく教師までも捩じ伏せ、彼女に従わない者は目を付けられ、彼女の気が済むまで虐められ貶められる。自分が辱めを受けたと思えば、どんな手を使ってでも報復をする。故に彼女は恐れられ、嫌悪される存在となった。
こうして群がる同級生達は目を付けられないように、私の機嫌取りをしたり媚びを売って私の権力を利用しようと画策する奴らばかりだ。だから本気で私を心配していた者など誰一人としていないだろう。その薄っぺらい面の皮の下では私への悪態を吐き、煩い存在だと思っていることだろう。
私達の間に友情なんて、きっとないのだ。まあそれもこれも全部、この我儘娘の今までの言動が原因なのだけど。
「ほらほら来ましたわよ！」
「きゃあ！ 今日も皆様見目麗しいですわね！」
「ああ、こっち向いてくれないかしら？」
「まあ！ 今日は全員いますわ！ 何て素晴らしい日でしょう！ 今日はきっと良いことありますわ！」
早く解放されたい。そんなことを思っていた矢先、突然教室の窓際の方から黄色い声が上がった。すると室内にいる女子生徒達が一斉にそちらへと集まっていく。
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抹茶ちよこ(プロフ) - かぼさん、お久し振りでございます。いつもいの一番にコメントして下さりありがとうございます✨よくある題材で設定が設定なので今までの作品に比べ糖度は低いですが、私らしく物語を紡いでいきたいと思っております。最後までお付き合い下されば幸いでございます。 (1月18日 8時) (
レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - 新作おめでとうございます✨初めてお見かけする雰囲気のお話に、今から続きが待ち遠しさと楽しみでいっぱいです(*´ ‐ `*)気温の変動が激しい時期ですので体調崩されないようお気をつけてお過ごしくださいませ。 (1月16日 22時) (レス) @page8 id: 36a6e4e509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2024年1月16日 20時
