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「……何処に行ってたんですか？」
「ん？ ああ、喉渇いたから水飲みに行ってたわ。……もしかして起こしてしもた？」
せやったらすまんなあ。ゾムは眉尻を垂れ下げて、彼女を抱き締める腕にぎゅっと力を込める。しかしAがゆるゆると首を横に振ると安心したように目を細め、彼女の後頭部に唇を寄せた。
ぐりぐり。まるでペットの犬猫が主人に甘えるかのように、彼女の頭に自らの頭を擦り付けるゾム。その頬を目一杯緩ませながら。
Aはその行為をじっと、静かに受け入れる。そのまま彼にされるがまま、かと思いきや。
不意に彼の腕の中でぐるりと体を反転させ、彼に抱き付いた。その存在を確かめるように、強く。自分よりも大きな体をしかと抱き締める。
「え、お、ど、どしたん……？」
ゾムは思わず動揺して固まってしまった。
こんな、彼女が積極的に来てくれるなんて。甘えるのは専ら自分からなので。嬉しさ半分、驚き半分。
とりあえずゾムは衝撃で僅かに離してしまった両腕を再び彼女の体に回した。
「……ゾムさんが、いなかったので」
Aがそう小さく零す。
それにゾムははっと目を見開き、次いで口角をこれでもかと言うように大きく吊り上げた。
「んふ。何やお前、寂しかったんか？」
喜びと嗜虐心が滲み出た声。ゾムが彼女にどんな答えを期待しているのか、その魂胆が見え見えだった。
それはAも頭の片隅で何となく理解していた。しかし、今の彼女はその期待に添えられる反応が出来そうになかった。
ただ、心の奥から湧き上がった素直な思いだけが喉を通り抜けて。
「……寂しかった、です」
声帯が、唇がそれを形にした。
そんなことはあり得ないと分かっていた。分かっていたはずなのに、頭の中に過ぎった一抹の不安がどうしても拭えなくて。駆り立てられて、此処まで来てしまった。
傍に温もりがあることに慣れ過ぎた所為か、少し離れただけでここまで胸が苦しくなるなんて。彼女自身も思いもしなかった。改めて自分の弱さに情けなくなった。
とりあえず、良かった。彼を見つけられて、彼が居てくれて。ようやく胸を撫で下ろす。
すり、と彼の首元に頬を擦った。
「……ッ」
彼女の思いがけない言葉に、切ない声に、甘える仕草に。ゾムの全身にビリリと電撃が走る。途端、鼓動が急激に早まる。
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抹茶ちよこ(プロフ) - nさん» こちらこそ最後まで読んで下さってありがとうございます✨nさんの心を動かす作品になれて、とても嬉しく思います！ (1月25日 20時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
n(プロフ) - 泣きました…本当に素晴らしい作品でした。ありがとうございました。 (1月22日 23時) (レス) @page9 id: 9f8fd53d26 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 雨宮さん» 雨宮さん、コメントありがとうございます✨おお…そんな方から楽しかったと感想を頂けるとは。大変嬉しいですね！こちらこそ、ありがとうございます！ (11月21日 22時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 - 完結おめでとうございます、あまり知らないジャンルでしたが楽しんで読めました。ありがとうございます。突然のコメント失礼致しました。 (11月20日 21時) (レス) @page9 id: 7f56c29a31 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 詩歌さん» 詩歌さん、コメントありがとうございます✨私の作品は年齢制限ものが多いので全員とは言えないですが(苦笑 以前の作品も是非見て欲しいですね。今より文が拙いと思うので恥ずかしい気持ちはありますが(笑 大丈夫ですよ！全然気にしてませんから！ (11月9日 8時) (レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2023年11月4日 13時
