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その文面はまるで、別れを示唆しているようなものだった。
鷹野は更に頭を混乱させた。何だこれは、と。何故こんな言葉が書き連なっているのか、その意図も理由もすぐに理解することは出来なかった。
だが同時に、嫌な予感が頭を過ぎった。ひやりと胸に冷や汗を掻きつつも鷹野はすぐさま彼女の携帯番号に電話を掛けた。
しかし何度コールが鳴り響いても、彼女が出る気配は一向になく。更に心配を募らせた彼は思い立って。店の扉に臨時休業の紙を貼り付けた後、急いで彼女の家へと向かったのだ。
彼女の履歴書に記載された住所を頼りに、久方振りに訪れた隣町を歩き。そしてようやく彼女の家に辿り着いた。
インターホンを鳴らすが、応答は無い。彼女の名前を呼んでもそれは変わらず。家の中から物音一つすら聞こえてこなかった。
試しに玄関の扉に手を掛けてみると──何と、開いてしまったではないか。
普段なら何と不用心なと思う所だが、今の鷹野にはただ不安を掻き立てられる要素にしかならなかった。胸騒ぎが止まらない。
おそるおそる扉を開ける。家の中は、酷く静かだった。荒らされた様子はない。ごくごく普通の、多少古ぼけた家内の風景が広がるだけ。
鷹野は入ることに一瞬躊躇ったが、一刻も早く彼女の安否を確かめなければと思い踏み込んだ。
居間、キッチン、寝室、縁側から繋がる庭先まで。平屋の隅々まで見て回ったが、やはり彼女の姿は何処にも無かった。
彼女が使っていたであろう日用品や仕事先で何度も見たことのある彼女の鞄、そして文机の上にある携帯も。その全てを置いて一体彼女は何処へ行ってしまったのだろう。
突然家主を失った家内は寂しく感じた。彼女が確かに此処に暮らしていた痕跡はこんなにもあるのに。彼女の存在だけが忽然と消えてしまったみたいで。
これではまるで、神隠しのようだ──。
と、鷹野は直感的にそう思った。
その後彼女の件は警察が預かることとなった。彼女が最近何か思い悩んでいたことや彼女からの手紙に書かれていた内容を警察に話した所、自ら命を絶った可能性があると言うことで動いてくれたのだ。鷹野は僅かばかりだが、安堵した。
しかし、果たしてあの彼女がそんなことをするだろうか。しない、と言い切れる根拠は何処にもないけれど。もしや表には出ていないだけで、本当は何かに酷く苦しめられていたのではないかと、鷹野は彼女とこれまで共にした記憶を思い返しながら考えた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - nさん» こちらこそ最後まで読んで下さってありがとうございます✨nさんの心を動かす作品になれて、とても嬉しく思います！ (1月25日 20時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
n(プロフ) - 泣きました…本当に素晴らしい作品でした。ありがとうございました。 (1月22日 23時) (レス) @page9 id: 9f8fd53d26 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 雨宮さん» 雨宮さん、コメントありがとうございます✨おお…そんな方から楽しかったと感想を頂けるとは。大変嬉しいですね！こちらこそ、ありがとうございます！ (11月21日 22時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 - 完結おめでとうございます、あまり知らないジャンルでしたが楽しんで読めました。ありがとうございます。突然のコメント失礼致しました。 (11月20日 21時) (レス) @page9 id: 7f56c29a31 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 詩歌さん» 詩歌さん、コメントありがとうございます✨私の作品は年齢制限ものが多いので全員とは言えないですが(苦笑 以前の作品も是非見て欲しいですね。今より文が拙いと思うので恥ずかしい気持ちはありますが(笑 大丈夫ですよ！全然気にしてませんから！ (11月9日 8時) (レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2023年11月4日 13時
