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○その変な間があったことに対して気付いていないのか、または然程気に掛からなかったのか。鷺沼は少し残念そうな顔をしながら、そうか、と呟き、手元のカップを持ち上げて一口啜った。
──嘘を吐いてすまない、鷺沼。
彼の見ていない所で眉を顰めた鷹野は心の中でそう謝罪する。遅かれ早かれいずれ彼の耳に入ると思うが、それを今直接伝えるほど鷹野はまだ心の整理が出来ていなかった。
本来ならAは今日もいつも通り出勤する予定だった。だが店内を見ての通り、彼女の姿は此処に無い。事前に彼女から休みの連絡も来ていない。つまり彼女は今、無断欠勤中なのだ。
しかし鷹野はそんな彼女を責める気持ちよりも、彼女の安否を心配する気持ちの方が優っていた。実は、事件は此処にも起きていたのだ。
Aが──突如として姿を消してしまったのだ。
時系列としては碧巳神社の拝殿が倒壊した次の日。
先にも言ったように知人から神社の話を得て、朝から憂鬱な気分になりながらも鷹野はいつものように店を開けた。そして店に入るや否や、異変に気が付いた。カウンターに何かが置いてある。
それは茶封筒だった。昨夜閉店作業をして店を後にする際には無かったはずのもの。
不審に思いながら慎重に近付いた彼は更にあることに気が付いた。それの表面に丁寧な文字で“鷹野さんへ”と書かれていた。
彼はその筆跡に見覚えがあった。Aのものだ。何故彼女の字で書かれた自分宛の封筒がこんな所にあるのだろう。
と言うか、そもそもあること自体が可笑しな話だ。昨夜彼女が退勤した後にはやはりこんなものは置いてなかったし、彼女から手渡された訳でもない。そう考えればこれが此処に置かれたのは、彼が店を出て鍵を開けるまでの間のことだ。
戸締まりはしっかりしていて、店に設置している防犯システムから不審者が侵入してきた等の通知も来ていない。
いつ、どうやって。色々と謎が残る中、鷹野は封筒の中身が気になって仕方なかった。おそるおそるそれを持ち上げ、封をされていない口を開けて中身を確認する。
すると一枚の紙が入っていた。取り出して二つ折りにされているそれを広げると、そこにもやはり彼女の文字が羅列していた。
『短い間でしたが、お世話になりました。本当にありがとうございます。鷹野さんが末長くご健康でありますことをお祈りしております』
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抹茶ちよこ(プロフ) - nさん» こちらこそ最後まで読んで下さってありがとうございます✨nさんの心を動かす作品になれて、とても嬉しく思います！ (1月25日 20時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
n(プロフ) - 泣きました…本当に素晴らしい作品でした。ありがとうございました。 (1月22日 23時) (レス) @page9 id: 9f8fd53d26 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 雨宮さん» 雨宮さん、コメントありがとうございます✨おお…そんな方から楽しかったと感想を頂けるとは。大変嬉しいですね！こちらこそ、ありがとうございます！ (11月21日 22時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮 - 完結おめでとうございます、あまり知らないジャンルでしたが楽しんで読めました。ありがとうございます。突然のコメント失礼致しました。 (11月20日 21時) (レス) @page9 id: 7f56c29a31 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - 詩歌さん» 詩歌さん、コメントありがとうございます✨私の作品は年齢制限ものが多いので全員とは言えないですが(苦笑 以前の作品も是非見て欲しいですね。今より文が拙いと思うので恥ずかしい気持ちはありますが(笑 大丈夫ですよ！全然気にしてませんから！ (11月9日 8時) (レス) id: 68848dd40a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2023年11月4日 13時
