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店の入り口の自動ドアが開いた瞬間、冷たい風が外へと流れていく。露出している肌を撫でるそれに気持ち良さを感じながら、二人は店内へと足を踏み入れる。
 甲高く独特な入り口のチャイムや活気溢れる店内のざわめきが聞こえる中、二人の視線はまずレジ上のメニュー表に向かった。店の看板メニューや期間限定のものがずらりと並んでいて、Aはどれにしようかと頭を悩ませた。
 
「遠慮せんで、どれでも好きなの選んでや」
「えっ……う、うん。分かった」
 
 そう言われて、改めてメニュー表を確認したAはしばらく経った後ようやく注文を決めた。ゾムもあらかた決まった所で、二人でレジに向かい笑顔が素敵な店員に注文を言う。
 セットメニューにデザート系を一品追加して注文を終えたAに、彼が驚きの表情を浮かべた。それだけでいいのか、もっと頼んでいいんだぞと言う彼にAはこれで十分お腹は満たされるから大丈夫と慌てて首を横に振った。
 その後彼女の返答に未だ納得がいかないような顔をするゾムが一人前を優に超える量を注文するその姿をAは愕然とした表情で見ていた。
 
 
「ねえ、貸した奴やってる? どこまで行った?」
「あー、それな。やってるんやけど、この前お盆でちょっとおとんの実家に行っててな。それであんまりやれてないねん。やからまだ最初の方」
「そっか。そう言えば言ってたね」
「でも分かったんや俺。まだ序盤やけど、これ絶対おもろいゲームやって」
「お、分かった? まだまだこれからもっと面白くなるから楽しみにしててよ」
 
 席について談話しながら注文したものを頬張る二人。側から見ればありきたりな店内風景に溶け込める光景。
 しかし一つだけ違うとすれば、彼の手元にあるトレーに詰められた、寧ろよく乗せられたなと思う程の注文したものだけだろう。Aは正直それを見るだけでお腹が一杯になりそうだった。
 そう言えば彼が大層大食いだと言うことを忘れていた。噂だったり彼からも直接聞いた覚えがあったのを今思い出し、それを目の当たりにされてようやく確信を得た。けれど流石にここまでとは予想はしていなかったので驚きを隠せなかった。
 
 店のロゴマークが印刷された紙を剥いで現れた、ジューシーな肉を挟んだそれが一つ、また一つと彼の胃袋に収まっていく様をAは心の中で感嘆の声を上げながら見つめる。

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作品ジャンル:恋愛
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時

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