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「女子でそこまでやってる子ってなかなかいないんじゃない?」
「せやろなあ。何かちょっと気になるわあ」

 両腕を組んで何故か神妙そうな顔をしているコネシマに「分かるー」とシャオロンが同意する。意外にも彼女に興味を示し出した二人にゾムは思わず目を丸くした。

 「確かにちょっと見てみたい気はする」そう言ったのは鬱だった。
 彼の中でのAは、クラスの中でも大人しい方だと言う認識だけだった。目立った(なり)でもなければ交友関係が広そうでもない。どこにでもいそうな、悪く言えば地味な女子である。顔はそれなりに可愛い方だと思っていたが、正直そんな興味を惹かれなかったのであまり積極的に知ろうとはしていなかった。
 だが、ゾムの話を聞いて自分のゲーム好きな心に少しだけ火が吐いた途端に彼女のことが気になり出した。メンバーの中でも一、二を争う実力を持つゾムと互角に戦えるその腕前。彼を疑う訳ではないが、それが本当なのかどうか、この目で確かめてみたくなったのだ。
 
 
「なあ。それやったら今日の放課後、そいつも一緒に連れて行かへん?」
 
 シャオロンの突然の提案に一瞬だけその場の空気が固まる。
 三人の視線が一斉に彼へと注がれる中、先に声を上げたのはコネシマだった。
 
「それええな!」
「えっ……え?」
 
 まるで名案だと言うようにパッと笑みを咲かせた彼にゾムが驚きの表情を浮かべる。次いで鬱も彼ほどではないにしろ、確かにそれはいいかもしれない、とそれくらいの感じで二人に賛同の意を示す。
 もはや決定事項の流れになりつつあるその雰囲気にゾムは困惑を隠せなかった。
 
「なあゾム、その、Aさん? 連れてきてえな」
「え、マジで……? うーん、まあ、うん、き、聞いてみるわあ……」
 
 まさかこんな展開になるとは思いも寄らなかった。未だ戸惑いを見せるゾムは特にそれを断る理由がなかったので渋々了承した。
 果たして今日の放課後、彼女の時間があるのかどうか。そして首を縦に振ってくれるだろうか、と不安になりながら手に持っていた食べかけのおにぎりを頬張った。

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作品ジャンル:恋愛
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます!面白いと言って頂けてとても嬉しいです!これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます! (2022年4月17日 12時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜!!本当に面白いです!!まさかのライバル?!誰なんだ…続きも楽しみにしてます! (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:抹茶ちよこ | 作成日時:2022年3月14日 15時

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