01：変わらない光景に ページ1
○其処は今日も音と光に満ち溢れていた。
入り口で出迎えてくれるのはガラスケースの中にいる、ドラマの役者ばりにライトアップされた少年少女達。彼らは通り過ぎる人々の関心を集めるように笑顔を作り愛想を振り撒いていく。どの子も皆一様に自分を選んで欲しそうに目を輝かせている。
他のガラスケースには可愛らしいぬいぐるみ達もいて、彼らもまた誰かの迎えを待っているかのように大人しく座っていたり寝転んでいる。
そんな彼らから離れ、店内に流れる流行りの曲を聴きながら階段を上れば、また別の世界が広がる。
形も大きさも異なる箱が整然と並び、それぞれのイメージカラーを発光している。スクリーンの中では文字や場面が次々と流れていたり、魅力的なキャラクター達が活発に動き回っていたり。鳴り響くサウンド、時々聞こえてくる彼らの声は通りかかる人達を自分達の世界に引き込もうとしている。
現に引き込まれた人達は一様に画面に釘付けとなって夢中になっていた。
「んはは！ ええぞ大先生！」
「おいショッピ！ もっと頑張れよ！」
「ちょっ、これ、意外と、キッツ……！」
「くっそ、大先生にだけは負けたくない……っ」
そんなフロアの一角。一際音楽に満ち溢れる場所に四つの黒い影。
放課後帰りの学生だろう、黒い制服を身に纏う彼らは一つの画面を三者三様の表情を浮かべながら見つめていた。
舞台上で忙しくなく足をバタつかせる二人の男子を観客席から二人の男子が勝負の行方を見守る。一方は疲弊や焦燥に汗を流し、一方はそんな二人にエールを送るも必死な様子に面白おかしく笑っている。
そろそろ勝負も終盤に差し掛かる。盛り上がる音楽に合わせて、画面上ではまるで洞察力が試されるかのような速さで落ちてくる大量の矢印。それを華麗とは言えないステップで捌いていく二人。もはやついていくのに精一杯と言うその姿は
そして筐体から鳴り響いていた音楽が止まると同時に画面も、二人の動きも止まる。一瞬の静寂。再び音楽が流れると共に画面が切り替われば、眼鏡の男子がその場にへたり込んだ。
「ああん、負けた……っ」
「よっしゃ、勝った……！」
「ナイス、ショッピ！」
「大先生惜しかったなあ」
軍配は茶髪の男子に上がった。彼は呼吸を荒くしながらも小さなガッツポーズを見せる。
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
