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○正直さっさと鞄を下ろして、教室に先生が来るまでのちょっとの間でも寝ていたいと思っていた。昨日の夜、少しだけゲームに夢中になってしまったからだ。特に親しくしている友人達——と言う名の悪友達と喋りたい気持ちは無くはないが、まあそれは今でなくても出来ることだろう。
とにかく自分の机で突っ伏したい。そう思いながら進んでいけば目的地に着く。開け放たれたドアを潜り、一直線に自分の席へと向かおうとする。
何気なく教室内を見回したその時、視界に映ったものについ足を止めてしまった。真ん中の列に、見覚えのある顔を見つけたのだ。
あいつ、やっぱり同じクラスの。
昨日の放課後、馴染みのゲームセンターで見かけた女子生徒。彼女は前の席の女子と仲良くお喋りを楽しんでいるようだった。
名前は——残念ながら、苗字すら思い出せない。自分の友人以外の人間への興味の無さに少しだけ嗤ってしまった。このクラスになってからもう二ヶ月が経とうとしているのに。顔を覚えているだけでも自分としては上々な方だ。
見た感じ普通の女子、どこにでもいそうで、学校の風景に埋もれてしまうような。しかしあんな場所に一人で来るぐらいなのだから、そこそこゲームが好きなのだろう。
何だか意外。人は見た目で判断してはいけないと言うのはこういうことだろうか。
とりあえずぼんやりしていたものがクリアになったことでようやく胸の靄が晴れた。
「ゾム、おはようさん」
すっきりとした気持ちで今度こそ自分の席へと歩き始めようとしたその時、背後から耳慣れた声が聞こえてきた。突然のことに心臓を跳ね上がらせたゾムは大袈裟に肩を震わせてから振り返った。
「お、お、お前……っ、急に話しかけんなや、びっくりしたやろ……！」
「え、ええ？ そんなびっくりする程やった？」
ゾムの反応に彼は青い前髪で隠していない片目を丸くした。特に驚かせるつもりで声を掛けた訳でもないし、びっくりするような大きな声も出していないのに。彼の少し理不尽な言葉に鬱は戸惑いを隠せなかった。
そして何となく彼の様子がいつもと違う気がして首を傾げる。
「てか、どうかしたん？ なんやぼーっとしてたっぽいけど……」
そう言われてゾムは再びドキッとした。
「へっ……？ あ、いや、なっ、何でもないで！」
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抹茶ちよこ(プロフ) - 瑞稀さん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けてとても嬉しいです！これからもどうぞ温かい目で見てやって下さい。ありがとうございます！ (2022年4月17日 12時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - うわぁ〜〜！！本当に面白いです！！まさかのライバル？！誰なんだ…続きも楽しみにしてます！ (2022年4月15日 0時) (レス) @page39 id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2022年3月14日 15時
