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○現状から言えば、使用人は足りている。特に仕事が滞っているようなこともなければ、休日も均等に与えられて不満の声も上がっていない。
増やす必要はないが、珍しい彼からの相談なので一応理由を聞いてみる。
その少女の事情や二人の関係、彼女に
そんな彼女に少しでも助力したいと思うようになり、彼女を使用人として受け入れることを快く承諾した。彼女に良い報告を持って帰れることになって、ゾムはひとまず安堵の笑みを浮かべた。
「んじゃ、早速連れて来てええ？」
「ええ、勿論」
話を聞いて興味が湧いたエーミールの瞳は心なしか輝いているように見えた。
そんな彼に背を向けて、ゾムは行きよりも足取り軽く、自室へと戻る。先程と同じ場所に座っている彼女と目が合う。
「ええってよ」
そう報告すると、みるみる内に彼女の表情が明るくなっていく。
今から彼に紹介したい、とその旨を伝えるとAはすぐに二つ返事をして立ち上がる。
やる気に満ちた表情を浮かべる彼女に、ゾムは本当に変わったな、としみじみ思った。出会った当初は何もかも諦め、絶望した目をしていたのに。まるで嘘のように今は光り輝いている。それにようやく年相応の表情が見えるようになった。
連れて来て良かった、と心からそう喜びを感じた。
今度は彼女を連れて、もう一度エーミールの下へと出発しようとしたその時。背後から、あっ、と声が上がった。
何事かと振り返ってみると、彼女はその笑い顔を若干引き攣らせていた。
「あのー……靴、貸してもらえませんか？」
その言葉にはっと気付いたゾムは彼女の足元に視線を落とした。そこには彼女の小さく細い素足が見えた。
思わぬ所で失念していたことが彼の中でツボに入ったのか、ゾムは思わず吹き出してしまった。
すまんすまん、と言いながら笑うことを止めない彼に呆気に取られたAだったが、その笑い声に釣られて自分もつい笑い出してしまった。
少しの間だけ、二人の笑い声が部屋の中に響いていた。
——第一章 完
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抹茶ちよこ(プロフ) - コメントありがとうございます！嬉しいです！では是非読ませて頂きますね(^-^) (2021年10月29日 3時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
アンテール(プロフ) - こんな作品があったなんて…。驚きです。この作品、大好きです！(*^^*)良かったら私も書いてるのでいかがですか？自分の作品紹介してすいません。 (2021年10月27日 9時) (レス) @page40 id: 798525d29d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - はぁぶ。＠某戦争屋推しさん» コメントありがとうございます！まさかこちらの作品も見て下さったとは…！本当にありがとうございます(T-T)が、頑張ります…！ (2021年8月7日 4時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。＠某戦争屋推し - 二章が気になる……。短編集の方から来た人です！抹茶ちよこさんの表し方？が好きです。更新を心待ちにしてます！頑張って〜 (2021年8月5日 18時) (レス) id: 457f98608e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年5月21日 14時
