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○自分達の危機を救ってくれた恩人をこんな形で失うなんて、あってたまるか。
ゾムは先日会った彼女の泣き腫らした顔を思い浮かべる。
苦しみに耐えて、助けを求めることもせず、自分に有益な情報だけを渡した少女。普通の人間なら情報と交換で自分のことを助けて欲しいと願ってくるものだろう。その考えすらあの少女は思い付かなかったのか、それくらい疲弊して絶望していたのか。
そんな彼女の結末が最悪だなんて、あまりにも報われない。ようやく恩を返せると思っていたのに。
ゾムは彼女の居なくなった部屋を睨み付けながら拳を握った。生きていることを願いながら、少女の行方を捜すことを決意したのだ。
ならばまず情報が必要だ。ゾムは急いで踵を返した。
✳︎✳︎✳︎
ある日の夜、男は同盟を組んだマフィアの構成員と酒を酌み交わしていた。その席でこれからのこと、情報交換、取引など実に有益な時間を過ごしていた。
「あんたとは馬が合いそうだ」
「はは、俺もそう思っていたとこだ」
同じ思想を持つ者同士だと分かると二人は笑みを浮かべた。その瞳の奥には悪巧みを考えている怪しい光がギラギラと輝いていた。
酒が入ったグラスを煽り、中身を全て飲み干した男は丁度良い頃合いだと席を立つことにした。また良い取引をしよう、と相手に別れの挨拶を告げ、屋敷を後にした。
門の外には送迎の高級な黒い車が停められていて、男は後部座席へと乗り込む。そして運転席に座る部下に自分の家まで送れと命令を下して、車を出させる。流れていく景色を眺めながら一息つく。
相手が出してきた酒が意外と口に合って、普段より多めに飲んだ気がする。いい感じのほろ酔い気分に浸る中、今回の対談を思い出して男は機嫌良さげに笑みを浮かべた。
先日秘密裏に計画していた、敵対勢力である我々だへの襲撃が不発に終わった。何だったら返り討ちにされたまであった。
度重なる抗争でこちらの勢力は減退、損害は大きく、戦況はますます不利になる一方だった。上層部においては、やはりあの組織に手を出したのは間違いだったか、と今更後戻り出来ないこの状況でそんなことをぼやいていた。
抗争をして分かったことだが、あちらの戦力と戦術が他と桁違いに強い。このままではこちらが壊滅されるのは時間の問題。その前に男はとんずらをする計画を企てていた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - コメントありがとうございます！嬉しいです！では是非読ませて頂きますね(^-^) (2021年10月29日 3時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
アンテール(プロフ) - こんな作品があったなんて…。驚きです。この作品、大好きです！(*^^*)良かったら私も書いてるのでいかがですか？自分の作品紹介してすいません。 (2021年10月27日 9時) (レス) @page40 id: 798525d29d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - はぁぶ。＠某戦争屋推しさん» コメントありがとうございます！まさかこちらの作品も見て下さったとは…！本当にありがとうございます(T-T)が、頑張ります…！ (2021年8月7日 4時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。＠某戦争屋推し - 二章が気になる……。短編集の方から来た人です！抹茶ちよこさんの表し方？が好きです。更新を心待ちにしてます！頑張って〜 (2021年8月5日 18時) (レス) id: 457f98608e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年5月21日 14時
