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「お兄さんって、もしかして『我々だ』って言うマフィアの人？」
少女の掠れた声がベランダに響いた。
どう声を掛ければいいのか分からず、喉を詰まらせていたゾムは少女から思いがけない言葉を聞いて目を見開いた。一体どこから、と思ったが以前ここに集まってくる輩がいると言っていたから、おそらくそいつらから聞いたのかもしれない。
だが流石にその質問に頷くのは、いささか判断に迷う。彼女は敵陣営に囚われている身ではあるが、仲間ではない。と言っても、彼女に身バレしたとしても、それほど危険ではないとも思っていた。
答えるのを渋るゾムから返事を待っていた少女だったが、答えるわけないか、とすぐに諦めた。違うならそれでいい。とりあえず伝えることが最優先だ。
「あいつらが、デラヤドマフィアが明後日、我々だが占拠しているへーヤン拠点を襲撃するって言ってたの」
その瞬間、ゾムの思考が一時停止した。
今、彼女は何と言った。聞き間違えでなければ、絶賛敵対中の組織が自分達の拠点を襲おうとしている、と。しかも明後日に。
ゾムは軽く混乱したが、冷静に考えてみる。そんな重要なことは情報部がもう掴んでいるのではないだろうか。だが、今の所そんな話は聞いていない。だからそれが本当かどうかの判断材料が無いのだ。
今一度、少女を見る。その真摯な目付きは到底嘘を吐いているようには見えない。いや、そもそも彼女が自分に嘘を吐くメリットなんてほとんどない。誰かに言わされてるようなそんな素振りでもなさそうだ。
「今デラヤドと組んだ別のマフィアと抗争してるんでしょ？ それが囮とも言ってた」
思考を巡らせ口を閉ざし続ける彼に何とか信じてほしい気持ちを伝える為に、少女は盗み聞いたことを全て話す。
ゾムは彼女のその言葉が今自分達が直面している状況に当てはまっていることに驚いた。そして、囮と聞いて嫌な予感が頭を過ぎる。
確かに奴らが今ここで戦闘を仕掛けてくることに少なからず違和感を覚えていた。あんな馬鹿正直に正面から自分達に挑んでも返り討ちに合うのが関の山だと言うのに。まさか、そんな裏があったのか。
これは一回調べてみる必要があるか。
思いがけない情報を仕入れることになって戸惑ったが、ゾムはとりあえず情報部に相談することを決めた。
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抹茶ちよこ(プロフ) - コメントありがとうございます！嬉しいです！では是非読ませて頂きますね(^-^) (2021年10月29日 3時) (
レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
アンテール(プロフ) - こんな作品があったなんて…。驚きです。この作品、大好きです！(*^^*)良かったら私も書いてるのでいかがですか？自分の作品紹介してすいません。 (2021年10月27日 9時) (レス) @page40 id: 798525d29d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ちよこ(プロフ) - はぁぶ。＠某戦争屋推しさん» コメントありがとうございます！まさかこちらの作品も見て下さったとは…！本当にありがとうございます(T-T)が、頑張ります…！ (2021年8月7日 4時) (レス) id: ea5fcbb4a4 (このIDを非表示/違反報告)
はぁぶ。＠某戦争屋推し - 二章が気になる……。短編集の方から来た人です！抹茶ちよこさんの表し方？が好きです。更新を心待ちにしてます！頑張って〜 (2021年8月5日 18時) (レス) id: 457f98608e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：抹茶ちよこ | 作成日時：2021年5月21日 14時
