捕獲対象【天童覚】

＊ ページ21

Aside







・







部活で遅くなってしまった。





普段は同じ方向の国見君が一緒だけど
今日は国見君が風邪で学校を休んでいて
一人で帰る事になった。






日が短くなったから、辺りは真っ暗。





雪も降ってきた。





大丈夫





いつも登校してきてる道だもん
一人で帰れる







……でも怖い…







そう言えば、合宿の初日も
怖くてあの人に側にいてもらったんだ






『はぁ…』






あれから結局引きずってるなぁ…私






会いたいな…

なんて、今更言えないけどね。







そんな事を考えている矢先だった






「ちょっと〜そこの可愛いお嬢さん」







『…っ！』






不意に聞き覚えのある声がして
ドクンと心臓が脈打つ





ゆっくり振り返った






『嘘…』







その人物を見た瞬間
頭が回らなくなった







『……天童…さん？』






天童「久しぶり、Aちゃん」






何で…？






白鳥沢はこんな方向じゃないのに





天童さんは近づいてくると
私の手を両手で包み込んだ






天童「うっわ、手ぇ冷た！」





冷えきった手に
ふぅっと息をかけてくれる






『どうして…？』






涙声になりながら言うと、ヘラッと笑って

「好きな子に会いに来ただけ。悪い？」
と言った。






ああ、もう
何で貴方はそうやって
人の心を簡単に奪ってくの？






天童「さて、問題でーす！！」






そう言って天童さんが人差し指を立てる






天童「巷だと今月末はカップルの大イベントがありまーす！！何でしょう！」






『え？！えぇっと…』






天童「5秒以内に答えないと
チューしちゃうよ〜〜？

5、4、3…」






『はぁ！？///ま、待って！！

ていうか、天童さんといるところ見られたら
また及川さんが……』






＿＿＿＿ｸﾞｲｯ






言いかけると腰を引き寄せられて
親指で唇に触れられた





顔がカッと熱くなる






『天童さんの事なんて…好きじゃ…』






天童「煩い子

＿＿お口チャックしちゃいたい」






天童さんがゆっくりと屈む








でも、逃げられない






ううん







＿＿＿＿逃げたくない






・

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