□裏腹 ページ28
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『昨日はすいません、取りに来なくて…あの、それで、、美味しかったですか？お弁当』
恐縮するAに、眉も動かさず、妙に威厳と落ち着きを加えた声でローが、
「ああ」
表層的な相槌を打つかのように答えた。
なんだか適当に返された気がする。
廊下からは釘を打つ音。
窓からは一度家に帰った生徒が段ボールを運んでいる。
他にも買い出しから戻ってきた生徒も見えた。
もうじき文化祭なのだ。
放課後の準備期間は生徒にとってテスト勉強よりも気合いの入る時間。文化祭モード一色だった。
「昨日は何してたんだ」
『昨日は、ルフィとお茶をしに……あっ！！これ、見てください！！』
リュックについているのは昨日眺めた目つきの悪い猫のぬいぐるみのストラップ。
『ルフィが取ってくれたんです、せんせーみたいで可愛いなぁって』
見間違いじゃなかった。
いや、見間違いだったとしても時期が早まっただけでいずれ話すことだった。
同級生と出かける。
それが普通の光景。
そうであってほしい。
『次のおかず何がいいですか？リクエストがあれば………』
「A屋」
ローが眉根を寄せて真剣な顔をしていた。
それはいつもの機嫌が悪い時の顔ではない。
「もう、作らなくていい」
『……え』
声が漏れるとはこういうことだろう。
Aは自分の呼吸が浅くなっていることに気がつき苦しくなる。
『お、美味しくなかったですか…？それともまた私嫌いなもの入れちゃいました…？』
「…………もう関わるな。そういう意味だ」
美味かった。
『な、え？…なんで急に…？』
美味かったよ。
毎日だって飽きねェ。
彼女が泣き出しそうな震える声で一生懸命に聞いてくる。
『私、先生が好きです、だからッ』
顔を上げた彼女の顔は涙で濡れていた。
手を伸ばしてしまいそうになり抑える。
「聞かなかったことにしてやる」
毎日作ってくれたっておれは構わない。
でもそんなこと言えるわけがない。
犯罪、立場、世間。
我ながらどうしてこんなことになるまで拒絶してこれなかったのか。
だから早めに突き放しておくべきだった。
余計な感情が邪魔をする前に。
いつだってそうしてきたのに。
昨日、ルシアとキスをした。
踏ん切りをつけるきっかけになると思ったからだ。
酔っていた勢いだってあるかもしれない。
でも大人の恋愛はそんなものだ。
なら尚更、あいつにはおれのように泥まみれになってほしくはない。
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はるさめ(プロフ) - あの、最初の6~7ページかが名前になってて設定した名前に変換されてません。そしてこの作品凄く面白いですね！まだまだ最初部分しか見れてませんが…頑張ってください！応援してます！ (2023年3月1日 15時) (
レス) @page7 id: 299e20c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - あんちょろさん» コメントありがとうございます！遅いですが夜勤頑張ってください！夜更新が多いので気長に待っていただければ…送別会は割と力入れるので楽しみにしていてください！ (2022年10月22日 9時) (レス) id: f1de8a3da7 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - ききぽんぬさん» コメントありがとうございます！読んでいただいて光栄です！お気に入り登録もありがとうございます😭更新頑張ります！ (2022年10月22日 9時) (レス) id: f1de8a3da7 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 夜勤なうなのにもう送別会編が気になって眠れません（夜勤だから寝るな！） (2022年10月21日 23時) (レス) @page45 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ききぽんぬ(プロフ) - はじめまして、こんにちは！昨日、この作品と出会ってめちゃくちゃおもしろくてあっという間に全て読みました！続編が出来るということでとても嬉しく思います(*´﹀`*)嬉しいお知らせが届くのを楽しみにお気に入り登録させていただきました。これからも応援してます！ (2022年10月21日 11時) (レス) @page43 id: 79ed02044f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おにぎり。
| 作成日時：2022年10月5日 21時
