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8割方の生徒がいる食堂に己遥の音声が響く。
こだまして、学校の隅々まで響いていく。
己遥がカレーを食べるのを放棄し、銀色のスプーンを落とした。
一緒に食べていた己遥の友人も手を止める。
食堂のほぼ全ての生徒が手を止めた。
「え、なにこの放送？」
「てかこれF組の佐久良さんの声じゃない？」
「ほら、あの生徒会入ってる」
次々に口にしていった言葉はついに己遥だと突き止める。
「ねぇ、これって己遥…じゃないよ…ね？」
友人が震えた声で話しかけてきた。
【加担してたこと、私がいつバラすか分かんないからね？覚悟しとけ】
【私よりあのブスを選ぶって言うの！？】
【この私が告白してやったのに頭沸いてんじゃねぇのかよテメェ！！】
それでも放送は止まらない。
【__くんと上手く行くようにしてくれるって言って…脅されて…】
【知らない人をいじめるよう命令されて…】
いつしか、聞いたことのある内容。
それは前にAを陥れるために使った女子生徒3人組の声。
周囲にいたものたちが己遥を見下しているような、蔑むような目で見る。
【佐久良己遥さんに__】
決定的な情報を言った。
その場にいられなくなった己遥が立ち上がったかと思えば走り出し、どこかへ向かう。
それは周りから見れば逃げたも同然。
__なに、
何が起きたの？
放送室の扉が全開に、盛大に開けられる。
叩きつけられたドアがかわいそうなくらいに。
「何放送してんだよ！？内容違う！」
何事もないかのように放送室で昼食を済まさせている男子生徒2人。
1人は部長だった。
「しっかり受け取ったものかけているけど？」
「こんなのが特別放送だって言いたいの！？頭沸いてんじゃねぇの！？」
己遥の酷い性格の変わりように部長は一瞬思考が止まっていた。
「間違えたのを最初に渡したらしいから爆豪くんが持ってきてくれたんだよ」
爆豪。
この漢字2文字が恐怖を物語った。
「佐久良さん」
放送室の入り口から名前を呼ばれる。
そこにいたのは、数名の教師。
「ちょっと、職員室まで」
.
.
「無駄つったのに」
爆豪が階段の影から己遥が絶望の顔で教師と歩いているのを見て独り言を呟く。
「バカな女」
反対を向き、教室へと戻る爆豪。
「一件落着」
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作者名：おにぎり同好会委員長。
| 作成日時：2021年12月27日 17時
