後輩くんはだいたいずるい【爆豪勝己】 (ページ41)

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不審な目でAは爆豪を見る。

普段からいじられているものだから、何をするか、疑いの目で見るしかなかった。

何度も助けられたことはあるし、信用したいが仕方のないこと。

周りの生徒が爆豪の様子に仰天する。

中には何してんだコイツ。という目も。

と、爆豪が両手を胸元の辺りまで持って来て____

パチパチ….と両手を叩いてみせた。

手を打つ音が静かに響き、今まで散々小声で小馬鹿にしていた生徒たちが黙り込んだ。

爆豪は変な目で見られようと拍手をやめない。

その時、爆豪の近隣に座っていた、切島、上鳴、瀬呂が立ち上がって拍手をする。

___え…

赤髪の切島がニコッと満面の笑みで笑いかけてくるものだから、Aは少しドキッとした。

そのうち、ぽつぽつと離れた場所から人が立ち上がり、拍手をする。

先生たちも一緒に拍手し始めたところで、ようやく嘲笑していたものたちが座りながらも拍手をし始めた。

気持ちのこもっていない、乾いた拍手だが。

雰囲気に押しつぶされた生徒たちは反省の面を見せ、少し下を向きながら拍手をする。

『あっ、ありがとうございました！！』

爆豪の始めたたったひとつの拍手で全校生徒が拍手をした。

感動した。

嬉しさが込み上げ、涙が出て来そうになる。

言ったことが伝わったのかはどうであれ、快かった。

Aが壇上を降り、溜まった涙をブレザーで拭う。

Aが降りた反対側の舞台裏では､､

「あ……ッの、クソ女！！！」

己遥が機材の一部を蹴飛ばす。

「私を誰だと思ってんの……」

Aが涙を拭う姿と、心配した前発表者の後輩2人が薄ら見える。

「………ぶっ潰す」

己遥が呟いた。

腫れた目を抱えて、予餞会は終わった。