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「あ、いたいたセーンパイ」
『爆豪くん！？』
己遥のお陰で少しばかり緊張感が和らぎ、余分な力が抜けていたAのもとへ、制服を着崩す爆豪が。
『ど、どしたの！？』
「センパイの様子見に」
爆豪はしゃがみ込んでからかってくるような悪戯っ子の笑みを見せる。
おまけにAに対して上目遣いをして来た。
______かっわ…いい
『じゃなくて！』
邪念を払うように首を振った。
爆豪が計画通り。と笑う。
「センパイ頑張ってくださいね」
『私は緊張でバクバクだよ…』
「じゃー……」
爆豪がAのペンポーチからボールペンを取って、原稿用紙にニコちゃんマークを書いた。
『なにこれ』
プッと笑みをこぼした。
「センパイが上手くいくようにオマジナイ」
『…………はぁ』
日々、後輩が可愛いと思って来ているA。
頭を抱えた。
「応援してますから」
『……がっ、んばるね』
フッと優しく笑う爆豪に対して、Aははにかみを見せた。
爆豪が去ってから数分後、予餞会が始まった。
校長の長い話。
知らない人の表彰。
全部がいつも通りの風景。
「次は来年への抱負のスピーチです」
______で、出番が来た…！
落ち着け……息吸って、吐いて…
人人人……
___大丈夫。
上手くいく。
原稿用紙を反射的にくしゃっと握りしめ、Aは歩き出した。
ステージに上がり、暗黙のルールの拍手がされる。
ステージに上がるとよく誰が何をしているかが見えると言うが、本当だったとAは実感する。
寝ている生徒もいれば、ぼーっとしている生徒。
真剣に話を聞いているものは数えられるくらい。
1年の女子生徒と男子生徒が読み終わり、ついに本番。
ガチガチに震えながら、リハーサル通りに壇上に立つ。
マイクの高さを調節し、緊張を落ち着かせようとする。
原稿用紙をスカートのポケットから取り出し、すぅっと息を吸って読み始めた。
その時、裏舞台ではニヤッと1人でに笑うものがいた。
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作者名：おにぎり同好会委員長。
| 作成日時：2021年12月27日 17時
