爆豪勝己の偽彼女【爆豪勝己】 (ページ10)

今日:28 hit、昨日:30 hit、合計:143,294 hit

□腹黒王子の演技力ページ10

.

「「「「A！！」」」」

教室に入った途端、クラスの女子生徒から囲まれた。

私は学校に来るのが遅い方で、すでにクラスメイトの女子たちは全員来ていた。

「どういうこと！？」
「付き合ってんの！？」

次々と質問が飛び交う。
廊下での一件は光の速さで皆に伝わっていた。

ここに来る途中でさえ、多くの女子からの痛い視線を浴びてきた。

「「いつから！？」」

囲むクラスメイト達は驚き、嫉妬、好奇心などで心を燃やしており圧が凄まじい。

『えっと…』

途端、騒がしかったクラスメイト全員か黙り込む。

____爆豪勝己、恐るべし。

と思った。

皆がジッと見てくる。
物凄くやりづらい。

彼が偽交際をすると言った。

つまり、私は演じなければならない。

偽彼女という舞台の上で。

『実は…』

「俺の彼女に何か用かよ、クソモブ共」

……。

イヤな汗が止まらない。

この声、このクズ感…

___間違いなくヤツだ。

「「「「王子！？」」」」

クラスの女子達が一瞬にして上目遣いとなり、綺麗にハモる。

「てか今俺の彼女って言った！？」

「やっぱり〜！？」

王子の声に反応した女子たちが黄色い悲鳴をあげる。

何故そんな楽しそうなのか。
Aには1ミリも理解出来なかった。

「用がねぇならコイツに構うな」

何気ない表情で彼はそう言った。

まるで___彼氏が彼女に取る態度のような。

王子は姿勢を低くし、Aの頬にキスをしてきた。

はじめてのチュウならず、再びのチュウである。

「「「「キャアアアアア！！？」」」」

Aのクラスにも王子ファンは多い。

これ以上ややこしくしないでくれ！
と教室の入り口にいる爆豪を睨むが、彼は愉快そうに微笑んでいた。

____この男…………故意でやったな。

腹黒王子の本性を見抜いたAだが、他の女子は王子の不気味な笑みに見惚れている。

他の女子からしたら、きっと普通の笑みに見えるのだろう。

「オイ」

『は、はいっ！』

全身に鳥肌を巡らせながらAは応える。

__と、彼の大きな掌が頭に乗り、ガシガシと撫でてきた。

「じゃな」

それはもう誰がどう見ても、彼氏の行動。

この場にいる女子全員がうっとりして、王子の背中を見送る。

そんなAの心境は

____うっわ〜〜〜…。

ドン引きだった。

.